ドイツ政府、情報機関の権限を大幅に拡大する法案閣議決定
改革の対象となるのは国外情報を扱う連邦情報局(BND)と、国内の安全保障を担う連邦憲法擁護庁(BfV)である。
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ドイツ政府は月12日、情報機関の権限を大幅に拡大する法案を閣議決定した。背景には、ロシアやイランなど外国勢力によるサイバー攻撃や偽情報工作、無人機を使った活動など、「ハイブリッド攻撃」の脅威が高まっているとの政府の危機認識がある。
改革の対象となるのは国外情報を扱う連邦情報局(BND)と、国内の安全保障を担う連邦憲法擁護庁(BfV)である。両機関に対し、デジタル通信へのアクセスやデータ収集だけでなく、敵対勢力の活動を妨害するための積極的な作戦権限を認める方向だ。ドブリント(Alexander Dobrindt)内相は12日、今回の改革によってドイツの安全保障体制を大きく転換すると説明した。
具体的には、一定の厳格な条件の下で、外国の攻撃者が利用するITシステムへの侵入、データのコピーや削除、サイバー攻撃に使われるシステムの無力化などが可能になる。通信事業者やデジタルプラットフォーム、交通事業者、金融仲介業者などに対して、情報提供を義務付ける仕組みも盛り込まれる。また、AIを情報収集や分析に活用することも想定されている。
ドイツが情報機関の権限拡大に慎重だった背景には、ナチス政権下で国家権力が情報機関を利用した歴史への強い警戒がある。戦後に設立された情報機関はイギリス、フランス、米国などの同盟国に比べて活動権限が限定されてきた。しかしメルツ政権は現在の脅威に対して従来の「情報を集めて分析する」だけの体制では十分ではないと判断した。
一方、権限拡大には懸念も強い。野党・緑の党はBNDの権限拡大には理解を示す一方、BfVまで同様の強力な権限を持つことについて、法の支配やプライバシーの観点から問題があると指摘した。政府は独立した評議会による監督を強化するとしているが、安全保障と市民の自由をどう両立させるかが最大の争点となる。
今回の改革案はドイツが「情報を収集する国家」から「脅威を阻止する国家」へと安全保障政策を転換する動きともいえる。東部のライプチヒ・ハレ空港で爆発物を搭載した無人機が発見されるなど、国内でも警戒事例が相次ぐ中、政府は対応能力の強化を急いでいる。
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