闇市場に出回る予定だった闇マスク140,000枚

フランス警察は、パリ北部、セントデニスのある施設に急襲を仕掛け、マスク140,000枚の受け入れを行っていた実業家他1名を逮捕した。

先月、フランス政府は医療従事者への支援として、マスクの生産、増強を企業に要請した。一方、中国から輸入される粗悪品マスクが市場に出回り、政府は対応に苦慮している。先日も明らかに質の悪い中国製マスクを押収したばかりだった。

当局担当者のガン・リン氏は、1,600万近い企業を検査し、粗悪品のマスク、効果のない消毒液などに対する大規模な取り締まりを実施したと説明した。

コロナウイルスの影響でマスク、アルコール消毒液などの衛生対策用品が世界中で不足している。ロックダウンの緩和措置を発表したドイツでは、マスクが軒並み完売し、手に入らない状況が続いているという。27日以降、外出時のマスク着用が必須になるためだと関係者は言う。

セントデニスの闇マスク

セントデニスで押収されたマスクには、コロナウイルス患者用の高仕様マスク(FFP2)が5,000個も含まれていた。また約3分の1は質の良いサージカルマスクだったという。

フランス国内のマスク取引価格は、コロナウイルスが発生する以前の3倍に跳ね上がっている。オンライン、店舗販売ともに価格は上昇しており、非難の声が相次いでいた。

仕入れ価格」自体が上昇している問題もある。小売店も利益を上げねばならない。製造元がマスクの価格を引き上げれば、小売店、オンラインでのマスク販売価格が上昇するのは当然である。

逮捕された実業家は、140,000枚のマスクをオランダで入手したと供述。1枚0.54ドル(約58円)で購入し、それを0.55ドル(約59円)から0.60ドル(約65円)で転売していたという。なお、もう一人の容疑者は、売りに出される闇マスクの購入を予定していた46歳の男だった。

コロナウイルスによる混乱が始まって以来、パリ地域では数件の闇マスク事件が発生している。オーベルヴィリエでは約29,000枚の闇マスクが、サン・トゥアンでも32,000枚を押収している。

26日時点、フランス国内におけるコロナウイルス感染者は160,000人超、約22,600人が死亡した。政府と警察は不正に転売、取引される闇マスクへの取り締まりを強化すると発表、医療関係者への供給を最優先するよう、改めて注意喚起を行った。

粗悪品マスク

スペイン、オランダ、トルコなどの数か国で質の悪い粗悪品マスクが問題となった。何十万枚ものマスクをリコールせねばならず、それが供給不足を誘発したと指摘されている。さらに、粗悪品を格安で入手し高値で転売する事案も複数発生しているようだ。

コロナウイルス発生以降、中国で新たに誕生したマスクメーカーは約9,000社。粗悪品が流通するのは当然であろう。26日、中国共産党は輸出する衛生用品に対し、国際規格を満たさねばならないとする新しい規則を発表した。

ロックダウンの緩和措置を発表し、経済活動再開を目指すドイツもマスクの供給に苦心している。第三の都市シュトゥットガルトは緩和措置を見越してマスクの確保・備蓄を進めていたが、需要に対応することはできなかったという。

ドイツ各州の関係当局は、「鼻と口を覆うスカーフも許容されるべきだろう」と強調しているため、政府の判断に注目が集まる。

イギリスなどの一部の国は、外出時のマスク規制に消極的である。理由はそれを必要とする感染者、医師、医療関係者などへの供給不足につながる恐れがあるためだ。世界最大の感染国となったアメリカも同様である。

チェコ共和国は公共の場でのマスク着用を義務付けると同時に、「自家製(手作り)布マスク」製作を推奨。オリジナルマスクの作り方を紹介したサイトや動画も多数登場している。

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