◎フェロー諸島では数百年前から主にゴンドウクジラを食用にする目的で追い込み漁を行っている。
2019年5月29日/デンマーク、フェロー諸島、イルカ追い込み漁(Andrija Ilic/AFP通信/Getty Images)

デンマークの自治領フェロー諸島政府は10日、イルカ追い込み漁の漁獲量を年間500頭に制限すると発表した。昨年9月に行われた追い込み漁では、1400頭以上のカマイルカが捕獲されたと報告されている。

同政府は動物愛護団体や活動家の抗議を受け、イルカ追い込み漁の見直しを行っていた。

活動家たちは追い込み漁を「殺戮」と呼び、フェロー諸島に「イルカ狩り」をやめるよう求めている。

フェロー諸島の住民はこの主張を却下し、イルカは何世紀も前から島民の生活と経済を支える貴重な資源になっていると反論した。

漁師、イルカの肉を販売する精肉店、イルカ料理を提供する飲食店は活動家を「偽善者」と呼び、「フェロー諸島はイルカの血一滴も無駄にしていない」と主張している。

フェロー諸島では数百年前から主にゴンドウクジラを食用にする目的で追い込み漁を行っているが、昨年9月にSNSで共有された海がイルカなどの血で真っ赤に染まる映像は活動家と一部の地元住民に衝撃を与え、多くの団体から批判を浴びた。

団体や活動家は追い込み漁禁止を求める130万人分の署名をフェロー諸島政府に提出している。

同政府は10日の声明で、「今後2年間のカマイルカの捕獲量は年間500頭に制限する」と発表した。なお、ゴンドウクジラは対象外である。

同政府は声明の中で、「このルールは昨年9月に1423頭のカマイルカが捕獲されたことを受け、設定するものである」と述べている。

政府は捕鯨を「フェロー諸島の生活を支える糧」と評し、ルールを守りながら続けていくと強調した。

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