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欧州議会、第三国への移民送還を認める法案可決、国連は反発

この法案は2015~16年に100万人を超えるシリア難民や移民が欧州に流入した「欧州難民危機」以降、加盟国で高まった移民抑制論を背景に策定された。
2026年6月13日/イタリア、首都ローマ、メローニ政権の移民政策に抗議するデモ参加者(ロイター通信)

欧州議会は17日、不法滞在者や難民申請が却下された移民の送還を強化する「送還規則(Return Regulation)」を賛成多数で可決した。この法案にはEU加盟国が域外の第三国に収容施設、いわゆる「リターン・ハブ(return hubs)」を設置し、送還対象者を収容できる仕組みが盛り込まれており、移民政策の大幅な厳格化として注目を集めている。法案は今後、EU加盟27カ国の議会による批准を経て発効する見通しだ。

この法案は2015~16年に100万人を超えるシリア難民や移民が欧州に流入した「欧州難民危機」以降、加盟国で高まった移民抑制論を背景に策定された。近年は各国で反移民を掲げる右派・極右政党の支持が拡大しており、EU全体でも国境管理や送還手続きの強化を求める声が強まっていた。

EUの執行機関である欧州委員会によると、現在は退去命令を受けた外国人のうち実際にEU域外へ送還されるのは約2割にとどまっている。加盟国は身元確認の遅れや出身国との調整不足などを理由に送還手続きが進まないケースが多いと訴えてきた、EU執行部は新制度によって手続きの迅速化と執行力向上を図る考えだ。欧州委員会のフォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長は加盟国首脳に宛てた書簡で「より迅速で効果的な送還手続きを実現するために必要な手段を提供する」と法案の意義を強調した。

新制度では難民申請が却下された人や不法滞在者をEU域外の収容施設に移送できるようになる。送還先は本人の出身国である必要はなく、EUと受け入れ協定を結んだ第三国に設置された施設へ送られる可能性がある。制度の具体的な運用方法や受け入れ国の候補はまだ公表されていないが、加盟国の中にはすでに域外施設設置の検討を進める動きも出ている。

一方、人権団体や国際機関は法案に強く反発している。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のターク(Volker Turk)高等弁務官は移民や難民の”非人間化”が進んでいると警告し、新制度が長期収容の拡大や、迫害の危険がある国への送還を禁じる「ノン・ルフールマン原則」を弱体化させる恐れがあると指摘した。支援団体からも「巨大な拘束・送還システムを生み出す」との批判が上がっている。

EUは今月、移民・難民政策全体を見直す新制度も発効させ、国境管理や難民審査の厳格化を進めている。移民流入への対応を重視する加盟国と、人権保護を重視する勢力との対立は今後も続く見通しだ。今回の法案はEUの移民政策がより抑制的な方向へ転換していることを象徴する動きとして注目されている。

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