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EU、戦犯ムラディッチの葬儀を非難、セルビアの加盟交渉に新たな懸念

ムラディッチは1990年代のボスニア戦争でセルビア人勢力を率い、1995年のスレブレニツァ虐殺やサラエボ包囲などに関与したとして、旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(ICTY)から2017年にジェノサイドや戦争犯罪などの罪で終身刑を言い渡された。
2026年9月7日/セルビア、首都ベオグラード、ラトコ・ムラディッチの葬儀(AP通信)

欧州連合(EU)の高官は8日、旧ユーゴスラビア紛争で大量虐殺などの罪に問われた旧ボスニア・セルビア軍のラトコ・ムラディッチ(Ratko Mladic)の葬儀について、セルビアが英雄扱いしたとして強く非難した。EUは今回の対応が欧州の基本的価値に反すると指摘し、EU加盟を目指すセルビアとの関係に新たな緊張が生じている。

ムラディッチは1990年代のボスニア戦争でセルビア人勢力を率い、1995年のスレブレニツァ虐殺やサラエボ包囲などに関与したとして、旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(ICTY)から2017年にジェノサイドや戦争犯罪などの罪で終身刑を言い渡された。

ムラディッチは8月27日にハーグで死亡、84歳だった。

セルビアの首都ベオグラードで行われた葬儀には多数の市民や民族主義者、退役軍人らが集まり、軍事的な栄誉を伴う式典となった。政府の閣僚らも参列し、セルビア正教会の最高位聖職者が葬儀を執り行ったほか、ロシアの駐セルビア大使も姿を見せた。こうした光景に対し、欧州委員会のフォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長は「衝撃的だ」と批判し、セルビアが過去の戦争犯罪と向き合う姿勢に疑問を呈した。

欧州理事会のコスタ(Antonio Costa)常任議長も戦争犯罪者を称賛する行為はEUが重視する人権、民主主義、法の支配と相いれないとの立場を示した。一部の高官はムラディッチの扱いに抗議してセルビア訪問を取りやめており、EU加盟交渉にも影響が及ぶ可能性がある。

一方、セルビアのブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領は葬儀をめぐる批判について、国民の感情を表したものだとして反発している。セルビアは2014年からEU加盟交渉を続けているが、民主主義や法の支配、コソボ問題、ロシアとの関係など、多くの課題を抱えている。

今回の葬儀をめぐる対立は、セルビアがEUの価値観を共有する意思があるのかを改めて問うものとなった。加盟を進めるには、過去の戦争犯罪をどう記憶し、被害者と向き合うかという問題も避けて通れない。

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