EUによる中国製インバーター規制、太陽光発電の導入計画に影響も
インバーターは太陽光パネルで発電した直流電力を送電網で利用可能な交流電力に変換する重要機器である。
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欧州連合(EU)が中国製太陽光発電用インバーターに対する規制を強化したことで、域内の再生可能エネルギー導入計画に遅れが生じる可能性が浮上している。EUはサイバーセキュリティ上の懸念を理由に、中国製インバーターを使用する案件への公的資金投入を制限したが、業界からはコスト上昇や設備導入の停滞を懸念する声が上がっている。
インバーターは太陽光パネルで発電した直流電力を送電網で利用可能な交流電力に変換する重要機器である。近年、欧州市場では中国メーカーが高い競争力を背景に急速にシェアを拡大し、中国企業製品が市場の約7割を占めている。特に中国の大手メーカーであるファーウェイ(Huawei)やサングロウ(Sungrow)は欧州各国で広く採用されてきた。
EU当局はインターネット接続機能を持つインバーターが遠隔操作やソフトウエア更新に対応している点を問題視する。悪意ある第三者や外国政府が機器を通じて電力網に干渉した場合、大規模停電など重大なインフラ障害につながる恐れがあると警告している。こうした懸念は米国でも共有されており、中国製機器から未公表の通信装置が発見されたとの報告も安全保障上の警戒感を強めてきた。
一方、業界関係者は規制による副作用を指摘する。ロイター通信の試算によると、今回の措置は年間14ギガワット超の新規太陽光発電設備に影響し、EU全体の年間導入量の2割以上に相当する。欧州製インバーターの値段は中国製より20〜40%高く、システム全体のコストを約2%押し上げる可能性がある。特に補助金への依存度が高い中東欧諸国では、事業採算性の悪化や導入延期が懸念されている。
欧州メーカーは需要増加に対応できると主張しているが、生産能力の拡大には時間と投資が必要だ。専門家の間では、エネルギー安全保障を重視する政策は理解できるものの、短中期的には再生可能エネルギー導入目標の達成を難しくするとの見方もある。EUは脱炭素化と経済安全保障という二つの政策目標の両立を迫られており、中国製技術への依存低減を進めながら、再エネ普及の勢いを維持できるかが今後の課題となる。
