◎今年、ベラルーシからリトアニアへの亡命を求める移民希望者は8月時点で4,100人以上に達し、2020年の50倍を超えた。
2021年8月4日/リトアニア、ルドニンカイ軍事訓練場に設置された移民収容キャンプ(Mindaugas Kulbis/AP通信)

8月18日、EUはベラルーシからラトビア、リトアニア、ポーランドに移民が大量に送り込まれている問題に強い懸念を表明し、加盟27カ国の不安定化を狙うベラルーシ政府の「ハイブリッド攻撃」を非難した。

今年、ベラルーシからリトアニアへの亡命を求める移民希望者は8月時点で4,100人以上に達し、2020年の50倍を超えた。当局によると、その多くがイラクからベラルーシに渡った人々だという。

ポーランド政府は18日、不法入国者を取り締まるために、国境に兵士約1,000人を配備したと発表した。

EU加盟27カ国はこの問題について話し合う緊急会談を18日に開催した。会談後、議長国スロベニアの内相は声明で、「ベラルーシの行動はEUの不安定化と圧力を目的とした直接攻撃に相当します」と述べ、ベラルーシ政府を厳しく非難した。「EUは移民を利用したベラルーシのハイブリッド攻撃を阻止するための新たな対応を検討する必要があります」

ベラルーシを20年以上鉄の拳で支配してきたアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は昨年8月の大統領選で勝利を主張したが、西側諸国と野党はこの主張を拒否、数十万人規模の抗議デモに発展した。

ベラルーシ国家保安委員会(KGB)と警察当局は抗議に参加した市民35,000人以上を逮捕し、数千人を残酷に殴打し、一部の野党指導者は刑務所に収容され、その他は隣国への亡命を余儀なくされた。

今年5月、ルカシェンコ大統領は反体制派のジャーナリストを逮捕するために民間旅客機をベラルーシの空港に強制着陸させ、国際社会の激しい非難に直面した。

EUがベラルーシに経済制裁を科した後、今回の移民流入問題が発生した。EUは、ルカシェンコ大統領は移民を隣国に送り込もうとしていると非難したが、ベラルーシ政府はこの主張を却下している。

スロベニアの内相は、「EUはベラルーシの侵略に対抗するあらゆる措置を講じると決意しており、将来の違法な国境通過を防ぐために、EUの国境全体を強化する必要性を認識しています」と述べたが、どのような措置を講じるかについては明らかにしなかった。

移民希望者の多くは、イラクからの商用便でベラルーシに入国したと信じられている。イラクはEUにビザ制限を課される可能性があるとして、ベラルーシへのフライトを一時停止した。

しかし、リトアニアの国境警備隊は18日に国境警備の映像を公開し、現在もベラルーシから多くの不法移民が押し寄せていると明らかにした。

EU議会のダビド・サッソーリ議長は、リトアニアのイングリダ・シモニテ首相との会談後の記者会見で、「ルカシェンコ大統領は貧しい人々を攻撃の駒として利用している」と述べた。「ルカシェンコ大統領は人々を集め、国境付近に移送し、人々にフェンスを越えるよう指示しています」

ドイツのアンゲラ・メルケル首相とエストニアのカヤ・カッラス首相は17日に行われた首脳会談後の会見で、「ルカシェンコ大統領はEUの制裁に対する報復として、移民をリトアニア、ラトビア、エストニア、ポーランドに向け送り込むハイブリッド攻撃を開始した」と非難した。

メルケル首相は20日にロシアのウラジーミル・プーチン大統領に問題を提起すると明らかにした。ベラルーシはロシアのエネルギー供給に大きく依存しており、脆弱なベラルーシの経済を支えるための融資を複数承認してきた。

2021年7月9日/リトアニア、ベラルーシとの国境近くをパトロールする治安当局(Mindaugas Kulbis/AP通信)
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