◎イギリスのコーンウォールでボリス・ジョンソン首相と会談したジョー・バイデン大統領は、コロナ対策に苦労している低所得国などに少なくともワクチン10億回分を寄付すると発表した。
6月10日、G7首脳サミットに先立ち、イギリスのコーンウォールでボリス・ジョンソン首相と会談したジョー・バイデン大統領は、コロナ対策に苦労している低所得国などに少なくともワクチン10億回分を寄付すると発表した。
ジョンソン首相と海辺を散策したバイデン大統領は記者団に対し、「私たちはパートナーと協力してこのパンデミックから世界を導く手助けをするつもりです」と述べ、G7の同盟国はアメリカのワクチン寄付に加わると宣言した。
G7の指導者たちは、コロナワクチンの供給における不平等問題に対処するよう国連や国際機関から圧力を受けている。人口12億人のアフリカ大陸のワクチン供給は、先日ほぼストップした。
バイデン大統領は演説の中で、「サミットに先立ち、ファイザーワクチン5億回分を92の低所得国とアフリカ連合（AU）に寄付するというコミットメントを正式に発表する」と述べた。
5億回分のうち、年内に寄付される線量は2億回。残り3億回は2022年上半期中に寄付される予定。
ジョンソン首相は今後数週間以内にワクチン500万回分を世界と共有し、その後、残りを順次共有すると発表した。「G7の指導者たちと一緒に寄付の約束を発表できることを望んでいます...」
フランスのエマニュエル・マクロン大統領はバイデン大統領のコミットメントを歓迎したうえで、欧州も同じことをするべきだと述べた。現地メディアによると、フランスは年末までに少なくとも3,000万回分を寄付すると約束したという。
バイデン大統領はG7のワクチンを世界中に展開し、「ワクチンが余るほど過剰に供給する」と述べたうえで、アメリカの線量に影響が出ることはないと強調した。アメリカのワクチン接種数はここ数週間で大きく減少しており、ホワイトハウスはあらゆる手を使った国民にワクチンを接種するよう促している。
アメリカは国連や世界保健機関（WHO）などが主導するCOVAXイニシアティブを通じてファイザーワクチンを配布する予定。COVAXが展開するワクチンの大多数を取り扱っているセラム・インスティチュート・オブ・インディア（SII）は、3月以来アストラゼネカワクチンを国外に出荷していない。
AP通信によると、ホワイトハウスの匿名の高官は5億回分の追加購入について、「バイデン大統領の指示でファイザー社と4週間前から緊急の交渉を行い、正式に発表する準備が整った」と述べたという。
バイデン大統領は記者団に対し、年内に寄付する2億回分の供給は8月から始まる予定と述べた。ワクチンの契約単価は公表されていないが、匿名の高官によると、アメリカは40億ドル（約4,500億円）相当のワクチンを世界に展開することになるという。
ちょうど1カ月前、欧州委員会は今後2年間でファイザーワクチンを18億回分購入する契約に署名した。委員会は購入する線量の一部をCOVAXに寄付するという約束を保留している。
COVAXは世界にワクチンを約8,100万回分供給したが、アフリカ大陸の接種はほとんど進んでいない。
バイデン大統領は声明の中で、第二次世界大戦におけるファシズムの脅威を打ち負かす原動力になった戦車と飛行機を製造したミシガン州デトロイトの労働者について言及した。「デトロイトの労働者たちは民主主義の兵器庫を構築しました。今、アメリカは今日の最新技術を使用して、世界の平和、健康、安定の敵であるコロナウイルスを打ち負かすための新しい兵器庫を構築しようとしています」
ホワイトハウスは先週、COVAXを通じて2,500万回分の余剰ワクチンを中南米、アジア、アフリカに展開すると発表していた。
ロシアと中国は国産ワクチンをいくつかの貧しい国々と共有している。今回のG7サミットでは、ロシアと中国の安全保障に関する多くの問題が主要議題になる予定。
＜ワクチン接種数／少なくとも1回接種した人の割合／6月11日時点＞
アメリカ：3億500万回／51％
イギリス：6,900万回／60％
ドイツ：5,800万回／47％
イタリア：4,000万回／45％
フランス：4,100万回／42％
カナダ：2,700万回／63％
日本：2,000万回／12％
中国：8億2,500万回／46～49％（推定）
インド：2億3,700万回／14％
イスラエル：1,100万回／63％
世界：22億6,000万回／12％
アジア：12億8,000万回／7％
北米：3億8,400万回／39％
ヨーロッパ：4億200万回／35％
EU：2億8,300万回／42％
南米：1億3,800万回／22％
アフリカ大陸：4,000万回／2％
