内部統制の強化

ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、不正選挙によって引き起こされた大規模デモ活動とゼネラル・ストライキへの取り締まりを強化すると発表した。

国営メディアは、先日行われた大統領選挙の結果について、現職のルカシェンコ大統領が80%以上を獲得し圧勝したと報じたが、野党と国民の多くが詐欺と不正を主張。国を二分する騒乱に発展した。

ルカシェンコ大統領は首都ミンスクでの騒乱を粛正すべく、大規模な取り締まり作戦を開始すると発表した。

政府は、EUの指導者たちが仮想サミットでベラルーシへの制裁を決めたことに猛反発、態度を硬化させた。

欧州理事会のシャルル・ミシェル議長は記者団に対し、「EUは先日行われたベラルーシ大統領選挙の結果を認めない」と明言し、投獄されている数百名のデモ抗議者たちを直ちに釈放するよう要求した。

8月19日、ルカシェンコ大統領は、ロマン・ゴロフチェンコ首相および内閣の続投を承認した。なお、提案された新内閣は共和国院(上院)で審議される。

1994年からベラルーシを率いてきた独裁大統領は、首都ミンスクでのデモ活動を鎮圧するよう、警察に命じた。

ルカシェンコ大統領は閣僚に対し、「ミンスクの障害は全て排除しなければならない。国民は疲れており、平和と静けさを求めている」と述べ、他国の干渉を防ぐために国境管理を引き締めると命じた。

また、選挙に抗議する不当なゼネラル・ストライキを計画している国営メディアの労働者などについて、「一度でも職務を放棄すれば、彼らは仕事と収入を失う」と警告した。

ルカシェンコ大統領は抗議デモと退陣要求を「クーデター」と呼び、野党と抗議者たちの意見を厳しく批判した。

ミンスクのメディアで働くジョナ・フィッシャー記者によると、「大統領からの戦術変更指示を受け、ベラルーシ当局の動きが変化した」と述べた。

それによると、通行人を監視する警察官の数が増加し、さらに、国営テレビ局への道に関所が設けられたという。また、ミンスク近くの工場で予定されていたゼネストは、警察によって妨害された。

国外追放された野党党首、スヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏がEU指導者に対し選挙結果を拒否するよう要求したことで、ルカシェンコ大統領の強権的な行動はエスカレートした。

ツィハノウスカヤ氏は選挙当日に何時間も拘留されたのちリトアニアへ国外追放され、その後、不正選挙に対するビデオ声明を発表。次のように述べた。

「政府は国民の意思を無視し、与党の圧勝と発表したが、それは嘘、不正、詐欺だらけの卑怯な行為である。私たちの国を取り戻すためには、EUの力を借りなければならない」

「ルカシェンコ大統領は私腹を肥やすことに固執する独裁者である。投票結果は彼の好きなように改ざんされるため、意味をなさない。さらに、抗議デモに対し催涙弾やゴム弾を撃ち込み、投獄された数千人は拷問された。現代ヨーロッパでこのような残虐行為が行われていることに恐怖を感じる」

ツィハノウスカヤ氏はビデオ声明中で、「新しく公正、かつ民主的な大統領選挙を国際的な監視組織の下で実施する」と述べた。

EUの指導者たちは、3時間の仮想サミットを行い、全会一致でベラルーシへの制裁に同意した。

【ベラルーシに対する制裁と提案】

①大統領選挙での不正行為、デモ抗議者への残虐行為および投獄に関与している役人の資産を凍結する。

②選挙結果は詐欺と不正に満ちており到底容認できない。よって、国民の票を漏れなく正しくチェックできる独立機関監視の下で再選挙を行うよう要請。

③平和的に選挙を行うのであれば、ルカシェンコ大統領と野党との対話を仲介する。

ベラルーシ警察の取り締まり

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独裁者

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は記者団に対し、「ベラルーシの大統領選挙に自由と公正はなかった」と述べた。

EUは、ベラルーシへの財政支援5,300万ユーロ(約67億円)を、政府および州ではなく非政府組織に配分すると圧力をかけた

EU指導者たちは、不正選挙の結果に反対するデモ参加者数千人への残忍な暴力と投獄を強く非難する共同声明を発表した。

メルケル首相と欧州委員会委員長を務めるウルズラ・フォン・デア・ライエン氏は、政府と野党反対勢力との対話の必要性を強調した。

8月15日、ルカシェンコ大統領はプーチン大統領と電話会談し、国内で軍事的脅威が発生した場合にはクレムリンから支援が提供されると述べた。

しかし、クレムリンのスポークスマン、ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は記者団に対し、「ロシアが軍事的またはその他の方法でベラルーシに支援を行うことは、現時点ではない」と語った。

ルカシェンコ大統領の「プーチンヘルプコール」についてメルケル首相は、「ロシアが軍事介入すれば、事態はより一層複雑になり、間違いなく悪化する」と警告した。

ベラルーシの国営メディアで人気プレゼンターを務めるタチアナ・ボロキナ氏は、Facebookで辞職したことを発表し、不正・破壊・暴力・詐欺まみれの選挙を厳しく非難した。

ボロキナ氏は辞職した理由について、「笑顔でテレビに出演することができなくなった」と述べた。

その後、ボロキナ氏はルカシェンコ大統領支持者から脅迫を受け、国外に脱出した。

ボロキナ氏は公に変化を支持する国営メディア従業員のひとりであり、政府が主導していたプロパガンダテレビ番組の統制を破壊した、と称賛された

8月17日、州のメディアサービス”ベルテレラジオ”のスタッフが職務を放棄し、大統領選挙の不正に対抗すると宣言した。

現在、ベラルーシ1を含むメインチャンネルは再放送を流し続けている。

テレビ特派員のヤナ・ショウコ氏の夫、イヴァン・ムラヨフ氏は、携帯電話で抗議活動を撮影しただけで拘留・拷問されたという。

ムラヨフ氏はBBCの取材に対し、「拘留は常軌を逸したものだった。警察官たちは拘留者を壁に叩きつけ、警棒で袋叩きにした。抵抗する者は地面に叩き伏せられ、足や手を踏みつけられた。彼らは私に、”お前は誰が好きなんだ?”と質問した。私は”ベラルーシ”と答えることしかできなかった」と述べた。

先週末、国営メディアは、首都ミンスクで開催された数万人規模のデモ活動を初めてニュース速報で流し、ルカシェンコ大統領へのクーデターと報じた

一方、ルカシェンコ大統領支持派の集会については、22分におよぶ特集を編成し、大統領スピーチの抜粋、支持者たちの主張を大々的に放送した。

ショウコ氏はルカシェンコ大統領に関連するプロパガンダを非難し、国営テレビのインタビュー映像に登場する人々が回答しづらい質問ばかり受けていると主張した。

ショウコ氏は州メディアの仕事から離脱した。しかし、ベラルーシが通常の、至って標準的なジャーナリズムを取り戻した日には、仕事に復帰したいと考えている。

国外に逃亡せざるを得なかったボロキナ氏はBBCの取材に対し、「こんな形で人生を破壊されるとは夢にも思っていなかった。しかし、不正だらけの選挙は必ず是正されると信じている」と述べた。

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