◎アレクサンドル・ルカシェンコ大統領は30日、「自国の安全と治安を維持できない場合は、必要に応じてロシア軍に支援を要請する」と語った。
2021年7月23日/ベラルーシ、首都ミンスクの会議場、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領(ニコライ・ペトロフ/BELTA/Pool/AP通信)

7月30日、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は自国の安全と治安を維持できない場合は、必要に応じてロシア軍に支援を要請すると語った。

ルカシェンコ大統領は国営のベルタ通信社のインタビューの中で、「昨年の反政府デモは他国の力を借りずに対処した」と強調したが、必要な場合は躊躇することなくロシア軍に支援を求めると述べた。「ベラルーシは50万の要因(軍や治安当局など)を迅速に配備できますが、それでも問題に対処できない場合はロシア軍がやってくるでしょう」

「必要と判断すれば躊躇しません」

ロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は30日、「ロシアはベラルーシから公式要請を受けておらず、ルカシェンコ大統領が話した事態は公式要請があった場合にのみ実行される」と述べた。

ロシアと旧ソビエト連邦のひとつであるベラルーシは軍事と防衛で緊密な関係を持っている。大西洋、インド洋および太平洋の一部で活動するロシア原子力潜水艦と通信する2つのレーダー基地はベラルーシに拠点を置いており、9月には大規模な合同軍事演習が実施される予定である。

ルカシェンコ大統領は最近までベラルーシ内にロシアの空軍基地を開設するという要求を拒否していた。しかし、昨年8月の大統領選挙に抗議する数十万人規模の大規模なデモが発生した際、ウラジーミル・プーチン大統領はベラルーシに軍事支援を約束しただけでなく15億ドル(約1,650億円)を融資したため、ルカシェンコ大統領は態度を軟化させた。

ベラルーシの野党と抗議者は西側諸国が不正と見なした大統領選挙の結果に激しく反発し、何カ月にもわたって抗議デモを行った。しかし、ルカシェンコ大統領はこれを厳しく取り締まり、結果、デモに参加した市民35,000人以上が逮捕され、数千人が残酷に殴打された。

アメリカとEUは一連の危機を受けてルカシェンコ大統領、政府関係者、経済の主要セクターに制裁を科した。

ベラルーシの政治アナリスト、ヴァレリー・カルバレビッチ氏はAP通信の取材に対し、「ルカシェンコ大統領は西側諸国を脅している」と語った。「彼は初めて、ベラルーシにロシア軍が配備される可能性があると言いました...」

ルカシェンコ大統領は野党指導者を「反政府勢力」と呼び、クーデター未遂事件を起こしたと非難している。主要な野党指導者は逮捕されるか隣国リトアニアに亡命した。そして、野党指導者を受け入れたリトアニアは現在、亡命を求めるベラルーシ移民の波に直面している。

リトアニア当局は、ベラルーシは意図的に不法移民を送り込んでいると主張しているが、ルカシェンコ大統領はこれを否定している。

ルカシェンコ大統領は30日の演説の中で、「西側諸国はベラルーシを痛めつけ、暴力を扇動している」と語った。「彼らはベラルーシの輸出部門に打撃を与えました。しかし、本当の目標は善良な市民から年金、給与、福利厚生、教育、医療を取り上げ、不満を引き起こすことです...」

ルカシェンコ大統領は独立系メディアの背後には外国の勢力がいると主張し、厳しい取り締まりは続くだろうと述べた。「ベラルーシの憲法は言論と表現の自由を保障していますが、過激派組織の反政府活動は容認しません。当局への批判はそのひとつです。政府は批判を真摯に受け止めてきました。しかし、革命、反乱、虐殺を求める過激派の活動はいかなる理由があろうと容認できません」

ビアスナ人権センターによると、ベラルーシ当局はここ数週間、非政府組織や独立系メディアに対する弾圧を強化し、7月だけでジャーナリストの事務所や活動家の自宅を200回以上襲撃したという。

ベラルーシジャーナリスト協会は、30日にもジャーナリストへの襲撃が複数の都市で確認されたと明らかにした。今週初め、当局はポーランドの資金提供を受けるBelsatTVチャンネルを過激派組織に指定した。

ルカシェンコ大統領は5月23日に英ライアンエアーの旅客機を首都ミンスクの空港に強制着陸させ、搭乗していた反対派ジャーナリストのラマン・プロタセビッチ氏(26歳)とガールフレンドのソフィア・サペガ氏(23歳)を逮捕した。2人は現在、自宅軟禁下に置かれている。

2021年7月13日/ロシア、サンクトペテルブルクの政府施設、ウラジーミル・プーチン大統領とベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領(Sputnik/Kremlin/Pool/AP通信)
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