◎記者会見に参加した英BBCニュースのジャーナリストは、「プロタセビッチ氏は明らかに強要されていた」と伝えた。
2021年6月14日/ベラルーシ、首都ミンスクの国営テレビスタジオ、ラマン・プロタセビッチ氏は将軍の横に座らされた(Getty Images/AFP通信)

現地メディアによると、ベラルーシ当局は5月23日に拘束した反体制派ジャーナリストのラマン・プロタセビッチ氏を記者会見に強制出演させたという。

記者会見に参加した英BBCニュースのジャーナリストは、「プロタセビッチ氏は明らかに強要されていた」と伝えた。

ヨーロッパ最後の独裁者、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領は先月、ギリシャからリトアニアに向かっていた英ライアンエアーのFR4978便の機内に爆弾が仕掛けられているとウソをつき、首都ミンスクの空港に着陸させたうえで、搭乗していたプロタセビッチ氏とガールフレンドのソフィア・サペガ氏を逮捕した。

ルカシェンコ大統領はイスラム過激派組織ハマスの爆弾テロから乗客を救ったと主張したが、西側諸国はこの言い訳を却下し、ハマス当局者も一切の関与を否定した。

ベラルーシ国家保安委員会(KGB)の支配下に置かれたプロタセビッチ氏は記者会見の中で、「私はとても気分が良く、殴打されたことはありません」と述べた。「私はベラルーシに損害を与えてしまったため、状況を改善したいと思っています...」

プロタセビッチ氏はテレグラムメッセージングアプリのNextaメディアネットワークの共同創設者で、反ルカシェンコ派の活動と昨年8月に始まった大統領選挙の不正に抗議する集会の組織化で重要な役割を果たしてきた。

ベラルーシ当局は昨年、プロタセビッチ氏をテロ監視リストに追加している。これにより、同氏は扇動罪および犯罪集団を組織した罪で懲役15年以上の長期刑を科される可能性がある。

記者会見を主催した空軍のドミトリー・ゴラ将軍は、サペガ氏が社会的不和と敵意を扇動した罪で起訴されたと述べた。同氏は首都ミンスクのKGB刑務所で拘束されている。

FR4978便の強制着陸はEU、イギリス、アメリカを激怒させ、ベラルーシは制裁の嵐に直面した。EUはベラヴィア(ベラルーシの国営航空会社)の圏内への立ち入りを禁止したうえで、航空各社にベラルーシの領空を避けるよう促した。

BBCニュースのジャーナリストは、「プロタセビッチ氏を同席させた理由はハッキリしないが、政府高官はルカシェンコ大統領の主張を繰り返すだけで、それ以外の情報は何も明かさなかった」と伝えた。

プロタセビッチ氏は今月3日、ベラルーシの国営テレビに強制出演させられ、「ルカシェンコ大統領を尊敬している」と涙を流しながら称賛し、政府を打倒しようとした認めた。しかし、プロタセビッチ氏の家族はAFP通信の取材に対し、「息子はテレビの前で自白を強要されました」と語った。

自白強要インタビューを見た人権団体と野党関係者は、プロタセビッチ氏の手首に拷問を受けた跡があったと主張している。

ルカシェンコ大統領は昨年8月の大統領選挙で圧倒的勝利を収めたと宣言したが、野党はこの主張を却下し、連日数万人規模の抗議活動を開催した。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はルカシェンコ大統領を支持しており、「強制的に退陣させるような事態に発展すれば、ベラルーシに軍を送る」と西側諸国に圧力をかけている。

2021年6月14日/ベラルーシ、首都ミンスク、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領(AP通信)

スポンサーリンク