◎隣国アゼルバイジャンとの平和条約締結に反対する数千人の野党支持者が集会を開催した。
2022年5月5日/アルメニア、首都エレバンで行われた反政府デモ(Vahram Baghdasaryan/AP通信)

アルメニアの首都エレバンで11日、隣国アゼルバイジャンとの平和条約締結に反対する数千人の野党支持者が集会を開き、政府に抗議した。

同国のパシニャン(Nikol Pashinyan)首相は先月、紛争地ナゴルノ・カラバフの問題を解決するためにはアゼルバイジャンと協定を結ぶ必要があると議会で演説し、野党の反発に直面した。

ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの領土とみなされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける分離主義勢力の管理下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。

2020年に発生したこの地域をめぐる紛争では両軍合わせて6000人以上が死亡、数千人が負傷したとされる。両国は同年11月、ロシアの仲介で停戦に合意し、アゼルバイジャンはその領土の大半を取り戻した。

現地メディアによると、エレバンの市庁舎周辺に集まったデモ隊の一部が市長室を襲撃しようとした。警察はこれを阻止し、代表者による話し合いが行われ、デモ隊は市庁舎の包囲を解いた。

パシニャン首相の演説以来、エレバンでは連日反政府集会が開催されている。野党支持者は議会周辺を行進し、パシニャン首相に辞任を要求している。

野党は2020年11月の和平協定を批判する一方、アゼルバイジャンとの戦争は望んでおらず、交渉でナゴルノ・カラバフの権利を取り戻すべきと主張している。

ロシアはこの地域に平和維持軍を配備し戦闘の発生を抑えているが、3月末に小競り合いが発生し、アルメニア兵数人がアゼルバイジャンの無人機攻撃で死亡したと報告されている。

パシニャン首相とアゼルバイジャンのアリエフ(Ilham Aliyev)大統領はEUの仲介で4月初めに会談し、和平交渉を開始することで合意した。

報道によると、両国は4月末までに問題を協議する委員会を設置する予定。アゼルバイジャンはこの問題に関する声明を発表していない。

2020年12月5日/アルメニア、首都エレバンの広場(Getty Images/AFP通信)
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