◎女性軽視発言で物議を醸しているSNSインフルエンサーのアンドリュー・テイト容疑者と弟は昨年末、人身売買に関与した疑いで逮捕された。
2023年1月10日/ルーマニア、首都ブカレストの裁判所前、取材に応じるアンドリュー・テイト容疑者(Getty Images/EPA通信)

ルーマニア高裁は27日、人身売買に関与した疑いで逮捕されたアンドリュー・テイト(Andrew Tate)容疑者の起訴前勾留期間を延長した理由について、「捜査当局が示した証拠に基づいている」と説明した。

テイト容疑者と弟は昨年末、人身売買に関与した疑いで逮捕された。

首都ブカレストの高裁は今月10日、地裁が昨年末に出した勾留期間を24時間から1月30日に延長する決定を支持。さらに今月20日、この期間を2月27日まで延長した。

高裁の判事は勾留期間を延長した理由について、「女性を標的にするテイトとその弟は極めて危険である」と説明した。

また判事は「容疑者は恒常的な暴力で被害者を脅し、心理的に支配してきた」と批判した。

さらに、「勾留延長は警察の捜査を支援するものではなく、この事件がもたらした社会的緊張を鑑み、女性の権利を保護する必要があると判断し決めたものである」と述べた。

テイト兄弟は容疑を否認したうえで、勾留延長を非難している。

しかし、判事は「テイト兄弟は弱い立場の女性を識別し、接近し、搾取し、巨額の利益を得る人身売買業者であると同時に、被害者を心理的に追い詰める危険人物だと考えている」と強調した。

捜査当局はテイト兄弟のグループに性的搾取されたとされる女性6人を特定している。当局によると、グループは女性たちに好意を示して誘い出し、暴力・脅迫・監視下に置き、人身売買やポルノ制作を強要したという

判事は検察の主張を引用し、「この事件の被害者とされる女性全員が被告に愛情を求める一方、兄弟は人身売買で金を稼げばそれを提供すると脅し、女性たちを心理的に支配していた」と指摘した。

また判事は「検察は事件の全容を完全には明らかにしていない」としながらも、被告は犯罪に関与していないという弁護士の主張は認めらず、勾留期間延長は法的証拠に基づいていると述べた。

警察はテイト兄弟とつながりのある2人のルーマニア人女性も逮捕、勾留している。

捜査当局はこの4人が2021年初頭から組織的な人身売買を開始し、ティックトックなどのSNSを使って被害者を言葉巧みに誘い出し、人身売買やポルノ制作を強要したとみている。

警察は今週、テイト兄弟のパソコンなどを押収した。兄弟は弁護士を通じて声明を発表。改めて無罪を主張した。

弁護士はテイト容疑者のSNSアカウントを代わりに運用し、数百万人のフォロワーに情報を発信し続けている。

勾留延長に異議を唱える控訴審は来週開かれる予定。

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