◎デモ隊は中道右派・アルバニア民主党を率いるベリシャ元首相を応援するために国会に飛び込もうとした。
2023年2月13日/アルバニア、首都ティラナの国会前、野党支持者と機動隊(Franc Zhurda/AP通信)

アルバニアの首都ティラナで13日、野党支持者数百人が国会に電撃戦を仕掛け、機動隊と衝突した。

デモ隊は中道右派・アルバニア民主党を率いるベリシャ(Sali Berisha)元首相を応援するために国会に飛び込もうとしたが、機動隊に阻まれ、撤退した。

地元メディアによると、一部の暴徒が機動隊に花火を撃ち込んだものの、ケガ人は出なかったという。逮捕者が出たか否かは不明。

ペリシャ氏の支持者は数週間前から抗議デモを続け、11日の集会には数千人が参加。中道左派のラマ(Edi Rama)首相に辞任を要求した。

国会内でも与野党の激しい攻防が展開された。

アルバニア民主党の議員は演題を占領し、与党議員の声を笛でかき消した。議長は「やめなさい」「落ち着け」と叫び、野党に退出を命じたものの、占領者はこれに応じず、13日の審議は中止となった。

ベリシャ氏は記者団に対し、「私は国民の声を与党に伝えたいだけだ」と語り、明日以降もデモを続けると宣言した。

野党はラマ政権が複数の汚職と組織犯罪に関与していると非難。若者の国外流出に歯止めがかからないのもラマ政権の責任と主張している。

ラマ氏は汚職疑惑を否定し、自身の政策がインフレ率を低く抑え、家庭や中小企業向けの支援でも多くの支持を得ていると反論している。アルバニアの消費者物価指数(CPL)は近隣諸国に比べると低い。

しかし、野党はラマ氏が米国で先月逮捕された元FBI高官マクゴニガル(Charles McGonigal)容疑者に賄賂を渡したと主張している。

マクゴニガル容疑者は米政府の制裁対象となっているロシアオリガルヒのために働き、その見返りに報酬を受け取ったとして、資金洗浄(マネーロンダリング)などの罪で逮捕、起訴された。

アルバニアの元情報当局高官は2017年にマクゴニガル容疑者に22万5000ドルの賄賂を渡したとされる。

マクゴニガル容疑者はラマ氏とも面会し、その際、ロシアオリガルヒ企業に同国の油田掘削を許可すべきでないと注意を促したとされる。

ラマ氏はマクゴニガル容疑者と面会したことは認めたが、賄賂や優遇措置を与えたという野党の主張は否定している。

一方、米国務省は2021年、ベリシャ政権時代(2005年~2013年)に発覚した数多くの汚職を非難し、ベリシャ氏とその関係者を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定。イギリスも同様の措置を取っている。

2022年6月23日/ブリュッセルのEU本部、アルバニアのラマ首相(Olivier Matthys/AP通信)
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