米国、イラン産原油の販売ライセンス取り消し、制裁再開へ
米財務省は既存契約を整理するため、7月17日までを猶予期間とし、それ以降はイラン産原油の取引を再び制裁対象とする。
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米政府は7日、イラン産原油の販売を一時的に認めていた特別許可(一般ライセンス)を撤回し、対イラン制裁を強化すると発表した。ホルムズ海峡周辺で原油タンカーなどが相次いで攻撃されたことを受けた措置で、米政府はイランによる行動を「到底容認できない」と非難した。今回の決定は、停戦後に進められていた米国とイランの関係改善や包括合意に向けた交渉にも影響を与える可能性がある。
撤回された一般ライセンスは先月発効したもので、イランが核査察の受け入れやホルムズ海峡の航行の自由を保障することを条件に、約60日間に限ってイラン産原油や石油製品の販売を認める内容だった。長年続いてきた対イラン制裁を一時的に緩和する象徴的な措置と位置付けられ、イラン経済の立て直しや恒久的な和平合意への環境整備が期待されていた。
しかし、ホルムズ海峡付近でカタールのLNGタンカーやサウジアラビア船籍の原油タンカーなど3隻が相次いで飛翔体による攻撃を受けた。米国や湾岸諸国はイランが攻撃に関与したとの見方を示しており、イラン政府は攻撃への関与を否定しているものの、海峡周辺の緊張が急速に高まっている。イギリス海軍傘下の英国海運貿易オペレーション(UKMTO)は航行リスクを最高水準に引き上げ、各国船舶に厳重な警戒を呼びかけている。
米財務省は既存契約を整理するため、7月17日までを猶予期間とし、それ以降はイラン産原油の取引を再び制裁対象とする。イランにとって原油輸出は主要な外貨獲得手段で、今回の措置は同国経済に大きな打撃となる見通しだ。一方で米政府は、海峡における安全確保が交渉継続の前提条件であるとの姿勢を鮮明にしている。
市場も敏感に反応した。ホルムズ海峡は世界の海上エネルギー輸送の要衝であり、供給不安への懸念から国際原油価格は一時5%以上上昇した。今後も航行の混乱や軍事的緊張が続けば、世界的なエネルギー価格や海上輸送コストに影響が及ぶ可能性がある。
今回の制裁再開は停戦後に進展しつつあった米イラン協議に大きな影を落とした。両国は核問題や制裁解除、ホルムズ海峡の恒久的な安全確保を柱とする包括合意を目指しているが、タンカー攻撃を契機に相互不信が再燃している。
外交努力が継続されるか、それとも対立が再び激化するかが今後の中東情勢と世界のエネルギー市場を左右することになりそうだ。
