カタールのLNGタンカーがホルムズ海峡へ向かう、米イランの協議停滞
世界経済に直結するホルムズ海峡の緊張緩和が実現するかどうかは、今後の外交交渉にかかっている。
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米国とイランの戦争終結に向けた協議が停滞する中、中東のエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡では緊張状態が続いている。こうした中、カタールの液化天然ガス(LNG)タンカーが9日、同海峡へ向けて航行を開始した。
報道によると、米政府はイラン側に対し停戦と和平協議に向けた新たな提案を示しているが、現時点でイランから正式な回答は得られていない。ロイター通信は関係筋の話しとして、米国はカタールやパキスタンを通じて外交交渉を続けているものの、意見の隔たりは依然大きいと伝えている。
今回、ホルムズ海峡へ向かったのはカタール産LNGを積載したタンカーで、戦争開始後に同海峡を通過しようとする初の大型ガス輸送船とみられている。船舶追跡データによると、タンカーはパキスタン方面へ向かい、イラン側もこの航行を認めている。外交筋は、これはカタールとパキスタンによる仲介努力の一環であり、「信頼醸成措置」と位置付けられていると説明している。
ホルムズ海峡は世界の海上石油輸送の2~3割が通過する要衝であり、LNG輸送でも極めて重要なルートとなっている。しかし、米国とイスラエルによる対イラン軍事作戦以降、イラン革命防衛隊は海峡周辺で商船への警告や臨検を強化し、多くの海運会社が通航を停止した。結果として、エネルギー市場で供給不安が高まり、原油価格や天然ガス価格が急騰している。
現地では依然として散発的な軍事衝突が続いている。今週にはアラブ首長国連邦(UAE)でイラン側によるものとされる攻撃が発生し、米軍は報復としてイラン関連施設への空爆を実施した。米中央軍(CENTCOM)は「部隊への直接的被害はなかった」と発表する一方、「さらなる挑発には対応する」と警告している。
米国は現在、イランの港湾に対する海上逆封鎖も継続している。トランプ政権はイラン経済への圧力を強めることで停戦交渉を有利に進めたい考えだが、中央情報局(CIA)は「短期的にはイラン経済への打撃は限定的」と分析している。さらに、中国やロシアが国連安全保障理事会で米寄りの決議案に反対姿勢を示しており、国際的な足並みもそろっていない。
一方、欧米諸国では海上輸送路の安全確保に向けた動きも進む。イギリス海軍は駆逐艦をホルムズ海峡周辺へ派遣し、米主導の「プロジェクト・フリーダム(フリーダム計画)」に参加する方針を表明した。フランスも海上警備への協力を検討しており、各国はエネルギー供給網の維持を急いでいる。
専門家は米国もイランも現在の対立を長期間維持する余力は乏しいと指摘する。だが、停戦条件をめぐる対立は深く、偶発的衝突が全面戦争へ発展する危険性も残っている。世界経済に直結するホルムズ海峡の緊張緩和が実現するかどうかは、今後の外交交渉にかかっている。
