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米オレゴン州でガソリン税引き上げの是非問う住民投票、民主党に逆風

問題となっている法案は、民主党が主導する州議会が昨年秋に可決した交通財源拡充策で、州ガソリン税を1ガロン当たり40セントから46セントへ引き上げる内容を柱とする。
ガソリンスタンド(Getty Images)

西部オレゴン州で民主党政権が進めたガソリン税引き上げ策が住民投票にかけられることになり、物価高騰に苦しむ有権者の間で大きな争点となっている。道路補修や除雪など交通インフラ維持の財源確保を目的とした増税だったが、イラン情勢を背景とする全米的なガソリン価格上昇と重なり、民主党にとって逆風となっている。

問題となっている法案は、民主党が主導する州議会が昨年秋に可決した交通財源拡充策で、州ガソリン税を1ガロン当たり40セントから46セントへ引き上げる内容を柱とする。さらに、自動車登録料や名義変更手数料の値上げ、公共交通向けの給与税引き上げも盛り込まれた。電気自動車(EV)や低燃費車の普及によって従来のガソリン税収が減少し、交通予算に穴が生じていることが背景にある。

これに対し共和党は即座に反発し、法案撤回を求める住民投票実施のため署名活動を展開した。必要数7万8000筆を大幅に上回る約25万筆を集め、5月19日の予備選挙と同時に是非を問う住民投票が実施されることになった。共和党側は「生活費が高騰する中でさらなる負担増は受け入れられない」と訴え、民主党の「家計支援」路線との矛盾を突いている。

現在の米国では、イランを巡る軍事的緊張による原油市場の混乱からガソリン価格が急騰している。全米平均は1ガロン=4.5ドルを超え、オレゴン州ではそれを約80セント上回る高値となっている。ポートランド市内のガソリンスタンドでは、「今このタイミングで増税するのは最悪だ」と不満を漏らす住民の声が相次いでいる。退職者の男性は「以前は70ドルでほぼ満タンになったのに、今は80ドル払っても半分ちょっとしか入らない」と語った。

一方、民主党側は増税の必要性を強調している。州の道路舗装や除雪サービスを維持するには安定財源が不可欠であり、老朽化したインフラを放置すれば将来の負担がさらに膨らむと主張する。ティナ・コテック(Tina Kotek)州知事は「家計への負担感が強い時期で厳しい戦いになる」と認めつつも、ガソリン価格高騰の主因はイランを巡る戦争とトランプ政権の外交判断にあるとの認識を示した。連邦政府に対しては、1ガロン18セントの連邦ガソリン税減税を検討すべきだと提案している。

ただ、民主党内からも「増税の価値を十分説明できなかった」との反省が出ている。ポール・エバンス(Paul Evans)州議会議員は、「”増税に賛成か反対か”という単純な構図になれば、多くの人は反対を選ぶ」と述べ、道路整備による利益よりも負担額ばかりが注目されたと分析した。住民投票の結果は物価高とインフラ財源確保という難題に民主党がどう向き合うかを占う試金石となりそうだ。

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