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クウェート軍、領空に侵入した敵対的ドローンを迎撃

クウェート国防省の報道官によると、軍は「既定の防空手順に従って対応した」としているが、迎撃地点や被害状況、ドローンの発射元については明らかにしていない。
クウェート、首都クウェート市(Getty Images)

クウェート軍は10日、領空に侵入した複数の「敵対的ドローン」を探知し、迎撃したと発表した。中東地域ではイランを巡る軍事衝突が始まって以来、断続的に無人機攻撃が続いており、4月に発効した停戦合意後としては初めて、クウェート領空内でのドローン侵入事案となった。

クウェート国防省の報道官によると、軍は「既定の防空手順に従って対応した」としているが、迎撃地点や被害状況、ドローンの発射元については明らかにしていない。現時点で人的被害は報告されていない。国防省は国民に対し、「国家の防空能力は完全に機能している」と強調し、冷静な対応を呼びかけた。

今回の事案はイラン関連の地域緊張の延長線上にある。クウェートでは4月25日にもイラク方面から飛来した2機のドローンが北部国境警備施設を攻撃し、設備に損傷を与えていた。また4月8日には重要インフラを狙ったイラン系ドローンの大規模飛来を防空システムが迎撃している。停戦成立後も湾岸諸国周辺では無人機攻撃が止まっていない。

同日にはアラブ首長国連邦(UAE)でもイラン方面から飛来したとされる2機のドローンを防空部隊が撃墜した。先週初めにはUAE領内に向かった弾道ミサイル2発とドローン3機が発射され、3人が負傷したと伝えられている。湾岸諸国では停戦後も防空警戒態勢が維持され、航空・エネルギー施設の防衛が強化されている。

背景には2月末に激化したイランと米国・イスラエル陣営との軍事衝突がある。イランは米軍基地や同盟国施設が存在する湾岸諸国に対し、ミサイルやドローン攻撃を繰り返してきた。クウェートでは空港や油田、発電・海水淡水化施設などが攻撃対象となり、民間人死傷者も発生した。クウェート国際空港ではレーダー設備や燃料タンクが損傷し、民間航空便が運航停止に追い込まれている。

また、3月にはクウェート防空部隊が米軍戦闘機を誤認して撃墜する事故も起きており、湾岸地域の防空網が極度の緊張状態に置かれていることを示した。こうした状況を受け、クウェートと米国は防空識別システムや共同運用手順の見直しを進めている。

一方、外交面では停戦維持に向けた動きも続いている。イラン政府は10日、米国が提示した和平案への回答を送付したと発表した。カタールやパキスタンなどが仲介に動き、ホルムズ海峡の通航問題も含めた緊張緩和交渉が模索されている。しかし、今回のクウェートやUAEでのドローン事案は地域情勢が依然として不安定であることを改めて浮き彫りにした。市場では安全保障不安から湾岸株式市場が下落し、エネルギー輸送への影響を懸念する声も広がっている。

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