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米財務省、レバノン政府関係者ら9人に制裁、ヒズボラを支援

ヒズボラは1982年、イラン革命防衛隊(IRGC)の支援を受けて設立されたシーア派組織で、軍事組織であると同時に政党としても活動している。
レバノン、イスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ナイム・カセム師(AP通信)

米政府は21日、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラを支援しているとして、同国の政治・治安関係者ら9人に対する制裁を発表した。対象にはイランが駐レバノン大使に指名した人物のほか、国会議員、治安機関関係者、ヒズボラ系メディア幹部らが含まれる。米財務省はこれらの人物がヒズボラの影響力維持に関与し、レバノン国内の和平や武装解除の取り組みを妨害していると非難した。

財務省の対外資産管理局(OFAC)によると、制裁対象者はレバノン議会や軍、情報機関など国家機関内部で活動し、ヒズボラに有利な政治的環境を維持してきたとされる。米国はヒズボラが国家機関に深く浸透することで、レバノン政府による統治や改革が阻害されているとみている。制裁によって対象者の米国内資産は凍結され、米国企業や個人との取引も禁止される。

今回の措置はイスラエルとヒズボラの戦闘が続く中で実施された。両者は2025年以降、レバノン南部を中心に断続的な衝突を繰り返しており、2026年3月には米国とイスラエルによる対イラン軍事作戦をきっかけに戦闘が激化した。イスラエル軍は首都ベイルート近郊や南部地域への空爆を強化し、ヒズボラ側もロケット弾や無人機による攻撃を続けている。米国はレバノン情勢の安定にはヒズボラの武装解除が不可欠との立場を鮮明にしている。

ヒズボラは1982年、イラン革命防衛隊(IRGC)の支援を受けて設立されたシーア派組織で、軍事組織であると同時に政党としても活動している。レバノン国内では強い政治的影響力を持ち、福祉事業や教育支援などを通じて支持基盤を築いてきた。一方、米国や湾岸諸国はヒズボラをテロ組織に指定し、資金網や軍事部門への制裁を強化している。

AP通信によると、今回制裁対象となった中にはヒズボラ所属議員のほか、同盟関係にあるアマル運動の関係者、治安機関幹部らも含まれている。特にレバノン軍情報部や治安総局の現職関係者への制裁は異例で、米国が国家機関内部におけるヒズボラの影響力を深刻視していることを示している。

レバノンでは近年、経済危機や混乱が続き。通貨価値が急落、電力不足や失業率の上昇が国民生活を圧迫している。こうした中で、ヒズボラは独自の社会支援網を維持してきたが、一方で武装組織として国家の統制外にあることへの批判も強まっている。2026年にはレバノン政府が初めてヒズボラの軍事活動を「違法」と位置づけ、武装解除を求める方針を打ち出した。

米政府は今回の制裁と並行して、ヒズボラの資金ネットワーク解体に向けた情報提供に最大1000万ドルの報奨金を提示した。財務省は「レバノンの安定と主権回復には、ヒズボラが国家機関への影響力を失う必要がある」と強調した。中東情勢が不安定化する中、米国は金融制裁を通じてイラン系勢力への圧力を一段と強めている。

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