◎イラク政府は2020年後半、ISISとの戦争で荒廃した町やインフラの復興を後押しする取り組みの一環として、全国の避難民キャンプを順次閉鎖すると発表した。
2019年11月5日/イラク、首都バグダッド、イラク軍の兵士(Essam al-Sudani/ロイター通信)

国連は19日、イラク当局が同国北部の難民キャンプを閉鎖したことに深刻な懸念を表明した。

首都バグダッドの国連事務所は声明で、北部地域にあるジャダ5(Jadah 5)と呼ばれる避難民向けのキャンプが19日に閉鎖されたと明らかにした。

それによると、このキャンプにはイスラム国(ISIS)との関係が疑われる300世帯以上が収容されていたという。

国連はイラク当局が避難民に十分な準備期間を与えずに閉鎖に踏み切ったと指摘。「子供を含む多くの市民がキャンプから追い出され、路頭に迷っている」と警告した。

北部地域で活動するNGO関係者によると、当局は避難民に対し、17日に閉鎖を通知し、19日までに退去するよう勧告していたという。

政府は当初、退去期限を5月としていたようだ。

ジャダ5はイラクに残る避難民キャンプの1つ。同国の国内避難民は今年初めの時点で約120万人と推定されている。

NGOは多くの女性や子供がキャンプ生活に苦労し、その一部はISISとつながりがあると指摘している。

あるNGO職員はツイッターに、「ISISとつながりのある人々は故郷に戻れば民兵や部族の攻撃を受ける恐れがある」と投稿している。

国連事務所は声明の中で「人道を優先すべき」と述べている。「国連はすべての避難民の安全かつ尊厳ある帰還を支持します...」

一方、イラク政府の報道官は国営メディアの取材に対し、「各家族に必要な支援と資金を提供した」と説明したが、退去期限を短縮した理由は明らかにしなかった。

イラク政府は2020年後半、ISISとの戦争で荒廃した町やインフラの復興を後押しする取り組みの一環として、全国の避難民キャンプを順次閉鎖すると発表した。

当局はその後、ほとんどのキャンプを閉鎖。北部のクルド人自治区にあるキャンプや隣国シリアのISIS拠点から移されたイラク人を収容するジャダ1も閉鎖されている。

国連や主要NGOは現存するキャンプに収容されている外国人を受け入れるよう各国政府に要請している。

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