◎タリバンは世界で最も貧しく国際援助に大きく依存している人口約3,800万人の国家を統治し喜んだが、数え消えないほど多くの課題に直面しており、国の運営は困難を極めると予想されている。
2021年8月31日/アフガニスタン、首都カブールの国際空港、メディアの取材に応じるタリバン当局者(Kathy Gannon/AP通信)

8月31日、世界最強の軍隊に勝利したタリバンは約20年続いたアフガニスタン戦争の終結と完全なる独立を盛大に祝い、新政権は国民に平和と安全をもたらすと誓った。

タリバンは世界で最も貧しく国際援助に大きく依存している人口約3,800万人の国家を統治し喜んだが、数え消えないほど多くの課題に直面しており、国の運営は困難を極めると予想されている。

タリバンは1996年から2001年までアフガニスタンを統治したが、国の経済はまともに機能せず、西側諸国は当時のアフガンをテロリストの巣窟と見なした。

AP通信によると、タリバンの高官は米軍の支配から解放されたハミド・カルザイ国際空港を見学し、記念写真を撮ったという。

タリバンの最高幹部のひとりであるヘクマトゥラ・ワシク氏はAP通信の取材に対し、「アフガニスタンは自由になった」と語った。「平和です。全てが安定しています。私たちはこの日を待ち望んでいました」

ワシク氏は国民に仕事に戻るよう促し、アフガン戦争でタリバンと敵対した全てのアフガン人に恩赦を与えると繰り返した。「国民は耐えなければなりません。全てを正常に戻すには時間がかかります...」

しかし、タリバンを信用している国民は恐らく少なく、カブールの銀行には少しでも多くの現金を引き出そうとする人々が大挙して押し寄せた。当局は1日の引き出し限度額を200ドル(約22,000円)に拡大している。

ハミド・カルザイ国際空港に駐屯している警察官のアブドゥル・マクスード氏はAP通信に、「4か月給料をもらっていない」と述べた。

カブールの公園や広場に設置された不衛生なテントで生活する国内避難民の数は数千人と伝えられている。アフガンの国連人道コーディネーターを務めるラミズ・アラクバロフ氏は31日、「アフガニスタンは人道的危機に瀕している」と警告した。

タリバンは西側諸国と良好な関係を構築したいと考えており、西側諸国の主要な要求のひとつである国際空港の運航再開と女性の権利の保障に応じる可能性が高いと信じられている。

現地メディアによると、タリバンは今のところ2001年以前の厳しい制限を科す兆候を見せておらず、女子生徒は学校に戻り、女性はブルカ(全身を覆う女性用のヴェール)ではなく、これまでと同じスカーフを身につけて外出している。

タリバンは以前、テレビ、音楽、写真撮影すら禁止したが、その兆候はまだ見られない。テレビ局は活動を継続し、多くのタリバン戦闘員が自撮り写真をフェイスブックに投稿している。

結婚式場を運営するシャダブ・アジミ氏はタリバンの政権奪取以来、少なくとも7回音楽付きの結婚式を行ったと述べた。アジミ氏はAP通信に、「旧政府の警察官はパトロールの都度、賄賂を支払えと要求してきたが、タリバンは見返りを求めない」と主張した。「警察官や政府職員は金をよこせと言い、昼食や夕食を提供させられました...」

今のところ、タリバンは本気で国を運営し、日常生活に制限を課すことに興味がないように見える。

しかし、政権奪取以前の失業率は30%を超え、アメリカを含む西側諸国から20年にわたり数十億ドルもの援助を受けたにもかからず、アフガン人の半数以上が1日1ドル以下の極貧生活を余儀なくされている。

タリバンがアフガニスタンに平和をもたらした場合、国民は経済的救済への要求を強めると思われる。前政権は年度予算の約80%を国際社会の援助に依存していたため、タリバンが乱暴な統治で西側諸国の信用を失い援助を断たれれば、国を運営することは難しくなる。

アメリカに本拠を置くシンクタンク、ウィルソンセンターのマイケル・クーゲルマン氏は、「タリバンは民主的な政府を速やかに確立し、経済危機を緩和する必要がある」と述べた。

しかし、イスラム国(ISIS)を含む複数のジハード組織は民主主義ではなくイスラム法の遵守を望んでおり、タリバンが西側諸国の希望通りに行動すれば、新たなテロ戦争に発展する可能性がある。

世界銀行と国際通貨基金(IMF)はタリバンへの資金提供を停止し、ジョー・バイデン大統領はアフガニスタン中央銀行が米国内で保有する外貨準備を凍結した。同行は資金約90億ドル(1兆円)の大半を米国内で保有していた。

2021年8月31日/アフガニスタン、首都カブール、タリバンの戦闘員(Getty Images/AFP通信/PAメディア)
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