◎シリア内戦の犠牲者は40万人近くに達し、国土の大部分は廃墟と化した。
シリア南部スウェイダ県の通り(Getty Images/AFP通信)

国営シリア・アラブ通信(SANA)は4日、南部スウェイダ県で暴動が発生し、数人が死亡したと報じた。

ロイター通信によると、デモ隊は知事室を襲撃し、市民少なくとも1人と警察官1人が死亡したという。死因は明らかにされていない。

デモ隊はアサド(Bashar al-Assad)大統領の政策と貧困に抗議したと伝えられている。

SANAによると、知事室周辺では銃撃戦も確認されたという。またデモ隊は知事室に火を放ったようだ。

デモに参加した市民は約200人と伝えられている。

シリア内戦の犠牲者は40万人近くに達し、国土の大部分は廃墟と化した。国連によると、人口の半数以上が避難民となり、数百万人がトルコなどの近隣諸国に逃亡したという。

アサド政権の管理下に置かれている地域の物価は高騰している。

スウェイダ県は激戦を回避した地域のひとつだが、専門家によると、イスラム国(ISIS)の工作員は市内に潜伏している可能性が高いという。

イギリスに本拠を置くNGO「シリア人権監視団」は4日、デモ隊が警察署を襲撃し、警察官少なくとも1人が殺害されたと報告した。

同監視団の責任者はAFP通信の取材に対し、「デモ隊は知事室のある建物に突撃し、治安部隊の攻撃を受けた」と語った。

独立系ニュースウェブサイト「スウェイダ24」は目撃者の話を引用し、「デモ隊は知事室に火を放った」と報じている。

SANAも知事室の公文書が焼き尽くされたと伝えている。知事は避難したとみられる。

ロイターの取材に応じたデモ参加者は、「治安部隊の姿は見えなかったが、遠くから銃撃していることは分かった」と語った。

一方、トルコのメディアは、「生活環境の悪化に抗議する数百人が政府庁舎や警察署に押し寄せ、アサド大統領のポスターをやぶり、政権交代を呼びかけた」と報じている。

シリア人権監視団によると、市中心部にも数十人が集まり、生活環境の改善と基本サービスの復旧を求めて抗議したという。デモ隊は停電、断水、燃料・食料の高騰、治安を改善するよう求めた。

スウェイダ県はイスラム教の一宗派であるドルーズ派の議員がアサド政権の戦いに巻き込まれないよう努力したおかげで暴力を免れた。

シリアの難民キャンプ(Getty Images/AFP通信)
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