◎トルコ・シリア地震は12年にわたる内戦で荒廃し、2300万人が避難民になったとされるシリアで無数の問題を引き起こしている。
2023年2月6日/シリア、北部アレッポ県、地震で倒壊した建物(Omar Sanadiki/AP通信)

世界銀行は3日、先月6日にトルコ南部のシリア国境近くで発生した大地震によるシリアの被害額が推定51億ドルにのぼるという調査結果を公表した。

この地震の死者は5万人を超え、シリアでは確認できているだけで6000人以上が死亡。数万人が行方不明とされ、被害の全容はいまだに明らかになっていない。

世銀はレポートの中で、「シリアの被害規模はGDPの10%に相当する」と報告した。

それによると、最も深刻な被害を受けた北部アレッポ県の被害額は全体の45%、約23億ドルにのぼるという。

北西部のクルド人が支配する地域も壊滅的な被害を受けた。世銀によると、この地域では約460万人が生活し、その多くが内戦で非難を余儀なくされた人々だという。

反政府勢力の管理下にあるイドリブ県の被害額は19億ドル。アサド政権が支配する沿岸部ラタキア県の被害額は5億4900万ドルと推定されている。

この大地震は12年にわたる内戦で荒廃し、2300万人が避難民になったとされるシリアで無数の問題を引き起こしている。

世銀はこのレポートについて、「予備的な評価であり、まだかなりの不確実性がある」とし、被害額はこれを大きく上回る可能性があるという見方を示した。

また世銀は「今回の災害はシリアの経済活動をさらに低迷させ、被災地以外の地域にも大打撃を与えるだろう」と警告した。

世銀は建物などの直接的な被害だけでなく、評価が難しい文化遺産なども調査対象に含めている。

世銀は先月公表した別のレポートでトルコの被害額を342億ドルと推定した。

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