シリア民主軍(SDF)が解散、国軍への統合本格化、国家統一へ
SDFはイスラム国(IS)との戦闘で米国の支援を受けてきた組織で、シリア北部・東部の広い地域を実効支配していた。
とSDFのアブディ総司令官(AP通信).jpg)
シリア北東部などで大きな影響力を持つクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」が25日、独立した軍事組織としての活動を終了し、解散した。SDFのアブディ(Mazloum Abdi)司令官がテレビ演説で発表したもので、今年1月に合意したシリア暫定政権との統合計画を進める上で重要な転換点となる。
SDFはイスラム国(IS)との戦闘で米国の支援を受けてきた組織で、シリア北部・東部の広い地域を実効支配していた。長年にわたり旧アサド政権と距離を置き、クルド勢力を中心とする自治的な統治機構と軍事力を維持してきたが、2026年1月、シャラア暫定政権と戦闘員を国軍に段階的に組み込むことで合意した。
今回の解散に至る背景には、国軍が1月にSDFの支配地域を奪還するため大規模な攻勢を展開したこともある。政府は複数の地域を短期間で掌握し、SDFに対して中央政府への統合を強く迫った。アブディ氏によると、その後、シャラア氏との合意に基づいてSDF部隊の軍への統合計画が進められ、今回、独立した軍事組織としての役割を終えることになった。
SDFの中核を構成してきたクルド人民防衛部隊(YPG)についても、国軍への統合が進んでいる。YPGの司令官は3月、シリア東部を管轄する国防副大臣に任命され、旧来のクルド系武装勢力を国家機構へ組み込む動きが具体化している。
今回のSDF解散は約14年に及んだ内戦とアサド時代の長期的な国際的孤立を経て、シリアが中央政府を軸とする国家再建を目指す動きの一環でもある。米国もSDFを支援してきた一方、現在は暫定政権による国内統合と復興を後押ししており、8月24日にはシリアをテロ支援国家の指定から解除した。こうした国際環境の変化も、クルド勢力と政府の統合を後押しする要因となっている。
ただし、SDFの解散がそのままシリア国内の対立解消を意味するわけではない。クルド勢力が求めてきた自治や権利保障を中央政府がどこまで認めるのか、またSDFの戦闘員をどのような形で国軍に組み込むのかが今後の焦点となる。
SDFの解散はシリア統一に向けた大きな一歩である一方、新たな国家体制を安定させるための難しい政治交渉の始まりでもある。
