ネパール・チベット大洪水、死者390人超、1400人以上が行方不明
被害の全容は明らかになっておらず、両国が調査を進めている。
ネパールと中国チベット自治区の国境付近で8月26日、氷河の崩落を引き金とする大規模な鉄砲水が発生した。濁流が山間部の集落を襲い、道路や橋、住宅などを一瞬で破壊。8月27日時点でネパール側だけで359人が死亡、910人が行方不明となっているほか、中国側でも少なくとも3人が死亡、558人が行方不明となり、両地域を合わせた死者は390人を超え、行方不明者は1400人以上に達している。
被害の全容は明らかになっておらず、両国が調査を進めている。
被害が特に深刻なのはネパール北部のヌワコットとラスワで、橋や道路を含む多くのインフラが大量の土砂で埋まり、地域の交通網が寸断された。山岳地帯という地理的条件に加え、インフラの損壊によって救助活動は難航している。ネパール軍と警察はヘリコプターを投入して孤立した地域から住民を救出しており、これまでに100人以上が空路で移送された。
今回の災害では外国人の被害も多数確認されている。ネパール側で行方不明となっている910人のうち少なくとも517人が外国人で、中国側でも558人の行方不明者のうち260人が外国人とされる。
インド人の巡礼者や米国、英国、オーストラリア、カナダ、日本などから訪れた観光客も含まれており、30カ国以上の国籍者が巻き込まれたとみられる。特にヒンズー教の聖地であるカイラス山を訪れる巡礼者が多く含まれていることから、各国政府も安否確認を急いでいる。
災害の発生原因については、ヒマラヤ山脈にあるランタン・リルン峰周辺の氷河・岩盤が崩落し、大量の氷や岩石が谷へ流れ込んだことで河川が急激に増水、ダムを形成し、それが崩れた可能性が指摘されている。衛星画像の分析では、大規模な地滑りが氷河を巻き込み、下流に猛烈な土砂流を発生させたことが示されている。
専門家は、地球温暖化によってヒマラヤの氷河や永久凍土が不安定化し、洪水や地滑りなどの災害リスクが高まっていると指摘する。ただし、今回の崩落と気候変動との直接的な因果関係については、さらなる検証が必要だ。
今回の惨事は温暖化が進むヒマラヤ地域で自然災害への監視体制や早期警戒システム、国境を越えた救助協力を強化する必要性を改めて浮き彫りにした。
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