◎ネタニヤフ首相はイスラム教の犠牲祭イード・アル・アドハの期間中(6.27~7.1)、風力プロジェクトを一時停止するよう関係閣僚に命じた。
2023年6月21日/ゴラン高原、イスラエルの風力発電タービン建設に抗議するデモ(Fadi Amun/AP通信)

イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が25日、ゴラン高原で予定している風力発電建設プロジェクトを一時凍結した。

首相府は声明で、「ネタニヤフ首相はイスラム教の犠牲祭イード・アル・アドハの期間中(6.27~7.1)、風力プロジェクトを一時停止するよう関係閣僚に命じた」と述べている。

それによると、ネタニヤフ氏は治安当局からの助言に基づき、この決定を下したという。

ゴラン高原で生活するドルーズ派(イスラム教の一宗派)はこの計画に反対し、抗議デモを続けている。

イスラエルの電力会社はゴラン攻撃に高さ約200mの風力発電機を20基以上建設する予定である。

これに対し、土地の所有者たちは風力発電が農業生産に害を及ぼし、このプロジェクトを主導するイスラエル政府と電力会社が協議に応じなかったと非難している。

21日に行われた抗議デモは暴動に発展。一部の怒れる暴徒が機動隊に石を投げつけ、パトカーや道路を破壊した。警察は放水砲と催涙ガスで応戦し、実弾による威嚇射撃も行ったようだ。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争で同国北部を見下ろす要衝ゴラン高原をシリアから奪い取り、合わせてガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区、東エルサレムを占領した。

米国のトランプ(Donald Trump)前大統領はゴラン高原の併合を認めたが、国際社会はこれを違法とみなしている。

ドルーズの指導者たちはシリアへの忠誠を誓っているものの、イスラエルとの関係も決して悪くない。

ゴラン高原はイスラエルの人気観光地であり、ホテルやレストランが立ち並び、ほとんどの住民はヘブライ語を流暢に話す。住民とイスラエル当局が衝突することはほとんどない。

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