米領プエルトリコ知事、海岸浸食対策のため非常事態を宣言
大西洋のハリケーンシーズン開始を目前に控え、政府は対策を急ぐ構えを示している。
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米領プエルトリコのゴンザレス(Jenniffer González)知事は27日、深刻化する海岸侵食に対応するため、北部沿岸地域を対象に非常事態を宣言した。地球温暖化に伴う海面上昇や高潮の増加によって海岸線の後退が急速に進み、道路や住宅などのインフラ被害が相次いでいるためだ。大西洋のハリケーンシーズン開始を目前に控え、政府は対策を急ぐ構えを示している。
特に被害が深刻なのは北東部の沿岸地区で、一部住民が避難を余儀なくされている。海岸沿いの道路ではアスファルトが崩落して海へ流れ落ちるなど、地域社会に大きな不安が広がっている。政府は今回の非常事態宣言によって防波堤建設や砂浜の補強、マングローブ植林などの事業を迅速に進める方針だ。
プエルトリコでは近年、気候変動による海岸侵食が深刻な問題となっている。プエルトリコ大学の調査によると、過去数年間で約100キロにわたる海岸線が内陸側へ後退したとされる。島の海岸線は総延長約1200キロに及び、人口約320万人のうち3分の2が沿岸部に居住している。そのうち2割以上が洪水や高潮の高リスク地域に住んでいるとされ、侵食の進行は住環境や観光、漁業など島の基幹産業に深刻な影響を及ぼしている。
背景には、2017年に島を直撃した大型ハリケーン・マリア以降の自然環境の変化もある。カテゴリー4の勢力で上陸したマリアは送電網や住宅、海岸部に甚大な被害を与え、その後も高潮や豪雨による浸食が続いてきた。専門家は、海面上昇と大型ハリケーンの頻発によって、今後さらに被害が拡大する恐れがあると警告している。
今回の非常事態宣言では、被害地域の保護だけでなく、将来的な移住支援も視野に入れている。過去には政府が1億ドル規模の侵食対策計画を打ち出し、住宅移転や人工礁設置など複数の施策を検討した経緯がある。しかし、財政難やインフラ老朽化に苦しむ中、十分な対策が進まず、問題は長年放置されてきた。
米連邦議会でも昨年、海岸侵食による経済損失や環境被害を調査する法案が提出され、連邦レベルでの支援拡充を求める声が高まっている。観光資源であるビーチの消失は地域経済に直結するだけに、プエルトリコ政府には迅速かつ持続的な対策が求められている。
