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イスラエル軍によるレバノン南部空爆、死者39人、負傷者多数

イスラエル軍は今回の攻撃について、親イラン武装組織ヒズボラの拠点や戦闘員を標的にした作戦だと説明しているが、民間人の犠牲が相次いでいるとして国際社会から懸念の声が上がっている。
2026年5月9日/レバノン南部、イスラエル軍の空爆を受けた建物(ロイター通信)

レバノン政府は9日、イスラエル軍による南部地域への空爆で少なくとも39人が死亡したと発表した。米国の仲介で4月に停戦が成立して以降、最大規模の被害となり、中東情勢の緊張が鮮明となっている。イスラエル軍は今回の攻撃について、親イラン武装組織ヒズボラの拠点や戦闘員を標的にした作戦だと説明しているが、民間人の犠牲が相次いでいるとして国際社会から懸念の声が上がっている。

ロイター通信によると、イスラエル国境に近い地区が標的となり、複数の住宅や車両が被害を受けた。レバノン保健省は声明で、子どもを含む少なくとも39人が死亡し、多くの民間人が病院に搬送されたと明らかにした。現場では救急隊が瓦礫の下敷きになった住民の捜索を続けているが、この地域ではイスラエルによる攻撃が続き、救助活動は難航しているという。

イスラエル軍は声明で、「ヒズボラの軍事施設やロケット発射拠点を攻撃した」と述べた。また、ヒズボラ側がイスラエル軍への攻撃を計画していたとの情報に基づき先制的措置を取ったとしている。一方で、民間人が巻き込まれた可能性については「調査中」と説明した。

今回の衝突の背景には、2026年3月以降続くイスラエルとヒズボラの軍事対立がある。ヒズボラはイランとの連携を強めながらイスラエル北部への攻撃を続けており、イスラエル側も報復として南部地域や首都ベイルートなどへの空爆を繰り返してきた。4月中旬には一時停戦が発効したものの、その後も双方が停戦違反を非難し合い、散発的な交戦が続いていた。

特に今月に入り、イスラエル軍はベイルート南郊にも攻撃範囲を拡大している。6日にはヒズボラの精鋭「ラドワン部隊」の司令官を標的とした空爆が行われ、10階建ての建物が倒壊された。この攻撃は停戦後初めて首都近郊を狙った大規模作戦とされ、地域住民に衝撃を与えた。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は9日、イスラエル軍の空爆とヒズボラによるロケット攻撃の双方が国際人道法に違反する可能性があると警告。住宅地への攻撃や無差別的な砲撃によって民間人被害が拡大しているとし、双方に即時の自制を求めた。

米国は停戦維持に向けてイスラエルとレバノン政府の協議を仲介し、ワシントンDCで両国代表による会談が予定されている。しかし、今回の大規模空爆により、外交努力が大きく揺らいでいる。レバノン国内では停戦が形骸化しているとの不満が強まり、避難民の増加やインフラ破壊による人道危機も深刻化している。

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