◎ネタニヤフ首相が提唱する司法制度改革案はイスラエルを建国史上最悪の国内危機に陥れ、分断を煽り、新たな亀裂を生じさせている。
2023年6月14日/イスラエル、エルサレムの国会、エルドアン首相(中央)と与党リクードの議員ら(Ohad Zwigenberg/AP通信)

イスラエル国会(定数120)議会は14日、ネタニヤフ政権の司法制度改革に反対する意思を示し、その統治に疑問を投げかけた。

国会はこの日、裁判官任命委員会の委員を新たに選出。与党リクード率いる連立政権の候補は必要な票を集められず、野党候補のみが賛成多数で選出された。

ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が提唱する司法制度改革案はイスラエルを建国史上最悪の国内危機に陥れ、分断を煽り、新たな亀裂を生じさせている。

野党は自分たちの候補が委員に選出されなければ、改革案を協議する交渉の場から撤退すると表明。ネタニヤフ氏はこれに反発し、「野党が対話を台無しにしようとしている」と非難した。

ネタニヤフ氏の改正案がそのまま成立すると、議会は過半数の賛成で最高裁の判決を覆せるようになる。

最大野党・イェシュアティドのラピド(Yair Lapid)元首相は14日の声明で、「公正な委員会なくして交渉なし」と述べ、ネタニヤフ氏をけん制した。

裁判官任命委員会は最高裁判事を選出する権限を与えられており、与野党協議の争点となっている。

9人の委員からなるこの委員会は伝統的に与党と野党の議員で構成される。しかし、リクードと連立を組む超国家主義政党はこの委員会を与党陣営で独占したいと考えているようだ。

委員選出投票は匿名で行われる。その結果は国会の過半数を確保するネタニヤフ氏の政権運営に疑問を投げかけるものとなった。

ネタニヤフ氏は連立政権の議員に対し、全候補に反対票を投じ、1カ月後の再投票まで交渉期間を延長するよう要請した。

しかし、与党の議員数人が野党候補に賛成票を投じたようだ。野党候補は賛成58ー反対56で委員に選出された。

一方、与党候に賛成票を投じたのは15人だけだった。

国会は来月中に委員の空席1つを埋める必要がある。

ラピド氏は記者団に対し、「委員会に野党議員が残ったことを歓迎する」語った。

ネタニヤフ氏はビデオ声明で、野党に責任があると主張。野党は自分たちが望むものを手に入れた後でも交渉から撤退するつもりだと主張した。「ガンツ(Benny Gantz、前国防相)とラピドは交渉を望んでいません...」

司法制度改革に抗議するデモは今年初めからほぼ毎週行われており、20万人以上が参加したこともあった。デモ主催者は17日に24週目の抗議デモを行う予定である。

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