◎バイデン政権とイスラエル史上最も右寄りなネタニヤフ政権の関係はこの数カ月ギクシャクしている。
2023年5月27日/イスラエル、首都テルアビブ、ネタニヤフ政権の司法制度改革案に抗議するデモ(Ohad Zwigenberg/AP通信)

イスラエルコーエン(Eli Cohen)外相は7日、同国の司法制度改革に深刻な懸念を表明したハリス(Kamala Harris)米副大統領を厳しく非難した。

バイデン政権とイスラエル史上最も右寄りなネタニヤフ政権の関係はこの数カ月ギクシャクしている。

ハリス氏はワシントンD.C.の在イスラエル大使館で6日に開催された式典に出席した際、「共通の価値観が米国とイスラエルの関係の基盤であり、民主主義国家は強力な制度、チェックアンドバランス(権力が特定の期間や部門に集中することをさけ、各部門間相互の均衡をはかること)、そして独立した司法の上に成り立つ」と発言した。

ネタニヤフ政権が推し進める司法制度改革はイスラエルを建国史上最悪の国内危機に陥れ、分断を煽り、新たな亀裂を生じさせた。

改正案が成立すると、議会は過半数の賛成で最高裁の判決を覆せるようになる。

コーヘン氏は地元ラジオ局のインタビューでハリス氏の発言をどう思うかと問われ、「彼女は法案を読んでいない」と答えた。

バイデン(Joe Biden)大統領も改正案に懸念を表明している。

首都テルアビブを含むイスラエルの主要都市では今年初めからほぼ毎週抗議デモが行われている。

法案の審議は3月に保留されたものの、デモ隊は法案が廃案になるまで抗議を続けるとしている。バイデン氏は再選を果たしたネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相を一度もホワイトハウスに招いていない。

地元メディアによると、駐米イスラエル大使はコーヘン氏に対し、「ハリス氏は米政府の長年の立場を再確認しただけだ」と説明したという。

コーヘン氏はその後、ツイッターに声明を投稿。「同盟国である米国とイスラエルの偉大な友人であるハリス副大統領を大いに尊敬している」と書き、「司法制度改革はイスラエル内部の問題であり、我が国はこれまで通り、民主的かつ自由な国であり続けるだろう」と強調した。

法案の審議停止で緊張は緩和されたものの、与党・リクードと連立を組む超国家主義政党は改革を推し進めるようネタニヤフ氏に圧力をかけている。

国家主義者たちは左派で構成される最高裁が選挙で選ばれた国会議員より大きな権限を与えられていることに不満を抱き、速やかに法律を改正するよう求めている。

反対派は改革が司法の独立とチェックアンドバランスを破壊すると非難している。

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