◎パレスチナ保健省はパレスチナ人少なくとも12人が死亡、141人が負傷したと報告。そのうち20人が重体だという。
2023年7月5日/ヨルダン川西岸地区の都市ジェニン(Getty Images/AFP通信)

イスラエル軍は5日、ヨルダン川西岸地区の都市ジェニンから部隊を撤退させ、過去20年で最大規模の軍事作戦を終了させた。

軍報道官によると、パレスチナ人武装勢力を対象とする軍事作戦は丸2日間続き、数百人の特殊部隊が参加したという。

パレスチナ保健省はパレスチナ人少なくとも12人が死亡、141人が負傷したと報告。そのうち20人が重体だという。

イスラエル軍は作戦中に兵士1人が死亡したと報告している。

同政府はこの作戦を「対テロ戦争のひとつ」と呼んでいる。

同軍報道官はAP通信の取材に対し、「この地域に拠点を置くテロリストのインフラを解体し、ジェニンはテロリストの安全な避難所であるという誤った考えを断ち切ることに成功した」と語った。

ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は4日、在米大使館で開催された米国の独立記念日を祝う式典で演説し、ジェニンの過激派を「地球上で最も正当な標的」「イスラエルの消滅を企てるテロリスト」と呼んだ。

またネタニヤフ氏は作戦を支援した米当局に謝意を示した。バイデン政権はイスラエルの自衛権を支持すると表明している。

パレスチナのアッバス(Mahmoud Abbas)議長は5日、イスラエルの作戦を「新たな戦争犯罪」と糾弾。イスラエルとの完全保障上の関係を完全に断ち切ると主張した。

しかし、作戦に巻き込まれたジェニンの市民はアッバス氏を「売国奴」「イスラエルの奴隷」などと呼び、糾弾している。アッバス氏が犠牲になった市民の葬儀に姿を現すと、弔問客は罵声を浴びせた。「お前は何もできない役立たずだ!」「恥を知れ!」

イスラエル政府関係者は作戦の成功を歓迎した。

ガラント(Yoav Galant)国防相は声明で、「我々はテロリストの武器製造ラインを破壊・捜索し、数千個の爆発物を押収した。また数十の武器製造拠点、隠れ家、爆発物製造のための研究所を取り壊した」と述べている。

それによると、イスラエル軍は過激派の戦闘員100人以上を拘束したという。

反アラブ・反パレスチナを推進する超国家主義政党「ユダヤの家」のベン・グヴィル(Itamar Ben Gvir)治安相は軍事作戦を絶賛した。

またベン・グヴィル氏はジェニンで死亡したパレスチナ人12人は全員武装勢力であると強調した。「テロに関与していない非戦闘員はひとりも死亡していません...」

西岸地区などで今年殺害されたパレスチナ人は140人を超え、その半数が武装勢力に所属していない民間人とみられている。

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