◎ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は2万9000人を超えた。
パレスチナ自治区、ガザ地区、病院の爆発に巻き込まれた市民(ロイター通信)

イスラエル外務省は19日、ガザ紛争をナチスによるユダヤ人大虐殺になぞらえたブラジルのルラ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領を改めて非難し、「発言を撤回するまで歓迎しない」と言い放った。

ルラ氏は先週、エチオピアの首都アディスアベバで開催されたアフリカ連合(AU)首脳会議に出席した際、イスラエル軍によるガザへの攻撃を「歴史上類を見ないもの」と評したうえで、「ヒトラー(Adolf Hitler)がユダヤ人大虐殺を決断した時と同じだ」と非難した。

イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相はこの発言に猛反発。「ホロコーストを矮小化した」と激怒し、ルラ氏を「暴力的な反ユダヤ主義者」と呼んだ。

イスラエルのカッツ(Israel Katz)外相は19日、「エルサレムにある国立ホロコースト記念館に駐ブラジル大使を呼び出し、叱責した」と明らかにした。

カッツ氏はX(旧ツイッター)に投稿した声明で、「ユダヤ人を虐殺したイスラム組織ハマスに対するイスラエルの正義の戦争とヒトラーを比較したルラの発言は恥ずべきものであり、容認できない」と怒りを表明した。

ブラジル外務省は19日、カッツ氏の対応を受け、首都ブラジリアの駐イスラエル大使を召喚し、説明を求めたと明らかにした。

同省は声明で、「イスラエル政府による発言の深刻さに鑑み、イスラエル大使を召還した」と述べた。

ユダヤ人の避難所として建設されたイスラエルはホロコーストと何かを比較することを嫌う。

ナチスによるユダヤ人大虐殺では600万人が犠牲になったと推定されている。

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は2万9000人を超えた。AUは先週の首脳会議でイスラエル軍の侵攻を改めて強く非難し、即時停戦を要求したが、制裁等の具体的な措置には踏み切らなかった。

米英独を除く国際社会はイスラエルへの非難を強めているが、今のところ何の行動も起こせずにいる。

紅海で商船への攻撃を続けるイエメン・フーシ派を支持するSNSユーザーはこう書いている。「非難するだけで戦争が終わったら苦労しない。アフリカの54カ国は今すぐイスラエルと米国に宣戦布告しろ、この役立たずども」

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