◎イランの支援を受けるイスラム聖戦はシリアの首都ダマスカスに本部を置き、ガザ地区で最も強力なテロ組織のひとつとみなされている。
2022年8月5日/ガザ地区、イスラム聖戦が発射したとされるロケット(Fatima Shbair/AP通信)

イスラエル軍は5日、ガザ地区に対する空爆でイスラム過激派組織「イスラム聖戦」の最高司令官を含む少なくとも15人を殺害したと発表した。

パレスチナ自治政府は5歳の少女を含む少なくとも10人が死亡、55人が負傷したと報告している。

イスラエルのラピド(Yair Lapid)首相はこの作戦を「即時の脅威に対処するもの」と評し、今週初めにイスラム聖戦の幹部1人を逮捕したと明らかにした。「イスラエルは差し迫った脅威に対して的確な対テロ作戦を実行しました...」

イスラム聖戦は空爆をイスラエルの宣戦布告と呼び、イスラエル領内に向けてロケット弾100発以上を発射した。

ロケット弾はイスラエル軍の防空システム「アイアンドーム」で撃墜されたとみられる。地元メディアによると、多くの都市でサイレンが鳴り響いたという。

イスラエル軍は5日遅くの声明で、「過激派の拠点に対する攻撃を再開した」と発表したが、詳細は明らかにしなかった。

また同軍は空爆について、「イスラム聖戦に関連する施設を狙った」とした。その中にはガザ地区の高層ビル「パレスチナタワー」も含まれ、大きな爆発と共に煙が立ち上る映像がSNSで共有された。

一方、パレスチナの保健当局によると、この空爆で5歳の少女1人とイスラム聖戦の戦闘員4人を含む少なくとも10人が死亡、55人が負傷し病院で治療を受けたという。

イスラエル軍報道官は「イスラム聖戦の最高司令官を含む少なくとも15人が死亡したと想定している」と述べている。

イスラエルのシャクド(Ayelet Shaked)内相は地元メディアの取材に対し、「紛争に発展する可能性がある」と言及した。「テロリストがどのように反応するかは、今のところ分かりません...」

イスラム聖戦のアルナハラ(Ziyad al-Nakhala)事務総長は訪問先のイランで声明を発表。「この侵略に力強く対応し、パレスチナの勝利に向けた戦いが始まる」とした。

「この戦いにレッドラインはありません。テルアビブはレジスタンスのロケット弾攻撃を受けるでしょう」

ガザ地区を実効支配するイスラム過激派組織ハマスは5日、「我々は対イスラエルにおいては団結しており、沈黙を守ることはない」と攻撃を示唆した。

イスラエル軍は1日遅く、ヨルダン川西岸地区でイスラム聖戦の幹部とみられる男を逮捕した。報道によると、この男はジェニン難民キャンプに潜伏していたという。当局はテロリスト2人を逮捕したと発表している。

この取り締まり後、イスラエル政府はイスラム聖戦が民間人や警察を攻撃する可能性があると警告し、ガザ地区国境の保安対策を強化した。

AFP通信によると、ガザ地区からイスラエルの町・村に続く道路は完全に閉鎖されたという。

イランの支援を受けるイスラム聖戦はシリアの首都ダマスカスに本部を置き、ガザ地区で最も強力なテロ組織のひとつとみなされている。

イスラム聖戦は2019年11月、イスラエル軍がイスラム聖戦司令官を殺害したことを受け、イスラエル領内にロケットを発射。5日間の紛争に発展し、パレスチナ人少なくとも34人が死亡、111人が負傷した。イスラエルでは市民63人が医療機関で治療を受けたと報告されている。

2022年8月5日/イスラエルとガザ地区の国境付近、イスラエル軍兵士の遺体返還を求める抗議デモ(Ariel Schalit/AP通信)
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