イスラエル軍がレバノン首都を空爆、数週間ぶり、停戦形骸化
ロイター通信によると、少なくとも2発のミサイルが撃ち込まれ、複数の建物が損壊した。
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イスラエル軍は28日、レバノンの首都ベイルート南郊を空爆した。ベイルートへの攻撃は数週間ぶりであり、4月に成立した停戦合意が揺らいでいる。標的となったのは、親イラン武装組織ヒズボラの拠点が集中する地区で、イスラエル側は「ミサイル部門の幹部を狙った精密攻撃だった」と説明した。
ロイター通信によると、少なくとも2発のミサイルが撃ち込まれ、複数の建物が損壊した。現場では爆発後に黒煙が立ち上り、周辺住民が避難する様子が確認された。ロイターは治安筋の話しとして、「標的となった人物はヒズボラ系組織の軍事責任者だった可能性がある」と伝えている。ヒズボラは現時点で声明を出していない。
米国が仲介した4月16日の停戦成立後もイスラエル軍とヒズボラの小規模衝突は続いていたが、ベイルート周辺への空爆は比較的抑制されていた。イスラエル政府高官は、「これまで首都攻撃を控えていたのは米国からの強い圧力があったためだ」と述べており、最近になってトランプ政権との協議を経て攻撃に踏み切ったことを示唆している。
同日、イスラエル軍は南レバノン各地への空爆も強化した。複数の地区で民間人を含む複数の死傷者が確認され、子どもが犠牲になったとの報道もある。イスラエル軍は「ヒズボラの軍事施設やロケット発射拠点を攻撃した」と説明しているが、レバノン政府は「停戦違反」「民間人への攻撃」と強く非難している。
さらにイスラエル軍は南部の大部分の住民に避難命令を出し、「戦闘地域」に指定。これにより、レバノン国土のおよそ2割が事実上の危険区域となった。住民避難が相次ぎ、ゴーストタウン化する地区も増えている。国連によると、戦闘再燃以降、3000人以上が死亡、120万人以上が避難を余儀なくされている。
イスラエル政府内では、ヒズボラによるドローン攻撃への報復として、より強硬な軍事対応を求める声が強まっている。一方で、米国や欧州諸国は全面戦争への拡大を警戒し、外交ルートを通じた沈静化を模索している。しかし、ガザ情勢に加えレバノン戦線でも緊張が再び高まったことで、中東地域全体の不安定化が一段と深刻になっている。
今回のベイルート空爆は停戦が極めて脆弱な均衡の上に成り立っていたことを改めて示した。双方の報復が続けば、2024年以来繰り返されてきた越境衝突が再び全面戦争に発展する可能性がある。
