◎シリア内戦の犠牲者は50万~60万人と推定され、国土の大部分は廃墟と化し、人口の半数以上が避難民となり、数百万人が近隣諸国に逃亡した。
イスラム国(ISIS)の旗を掲げる戦闘員(Getty-Images)

イギリスに本拠を置くNGO「シリア人権監視団(SOHR)」は12日、イスラム国(ISIS)がシリア中部でテロ攻撃を仕掛け、民間人を含む少なくとも11人を殺害したと発表した。

SOHRによると、ISISの残党とみられるテロリストは11日に中部パルミラでキノコ狩りをしていた75人ほどのグループを襲ったという。

国営シリア・アラブ通信(SANA)はこの攻撃による死者を4人と報じている。

SANAによると、パルミラもトルコ国境付近で6日に発生した地震の影響を受けたという。死傷者の有無は明らかにしていない。

SOHRは声明の中で、「ISISの残党は地震の混乱に乗じて活動を強化しているようにみえる」と指摘した。

ISISはキノコ狩りに来ていた民間人とアサド政権軍の兵士(護衛とみられる)に向け発砲。少なくとも11人が死亡、行方不明者も出ているようだ。

SANAもISIS戦闘員が機関銃を乱射し、一部の負傷者は意識不明の重体と伝えている。

一方、シリア北部のクルド人居住区で活動する救助隊は支援がほとんど届いていないと訴え、アサド政権が物資輸送を阻止していると非難した。

シリア北部の一部地域はクルド人部隊の管理下にあり、アサド(Bashar al-Assad)大統領率いる独裁政権と12年にわたって闘っている。

シリア内戦の犠牲者は50万~60万人と推定され、国土の大部分は廃墟と化し、人口の半数以上が避難民となり、数百万人が近隣諸国に逃亡した

ISISは2019年にシリアの支配地をすべて失ったが、その後も各地で活動を続け、そのイデオロギーを受け継ぐ組織が続々と誕生している。

パルミラを構成する砂漠地帯はISISの隠れ家のひとつであり、クルド人部隊やアサド軍への攻撃を続ける一方、イラクにも攻撃を仕掛けている。

SANAによると、ISISはシリア中部、北東部、東部でキノコ狩りに参加した女性や子供を多数誘拐しているという。

2021年4月に発生した同様の攻撃では民間人少なくとも19人が拉致された。

アサド軍はロシア、イラン、レバノンのシーア派武装勢力ヒズボラなどの支援を受け、ISISの隠れ家を攻撃し続けている。

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