◎アリドゥスティさんが主演した映画セールスマンはアカデミー賞の国際長編映画賞を受賞している。
2022年5月25日/フランス、第75回カンヌ国際映画祭、イランの女優タラネ・アリドゥスティさん(Daniel Cole/AP通信)

国営イラン通信(IRNA)は17日、抗議デモに関する虚偽の情報を拡散したとして、女優のタラネ・アリドゥスティ(Taraneh Alidoosti)さんが逮捕されたと報じた。

IRNAによると、当局はアリドゥスティさんが先週処刑された男性に連帯を示すインスタの投稿を「指導部に対する挑発」と見なし、逮捕に踏み切ったという。

この男性は抗議デモ中に逮捕され、絞首刑に処された。

またIRNAによると、数人の著名人が挑発的なコメントをSNSで拡散したとして司法機関に呼び出されたという。

IRNAは当局の声明を引用し、「アリドゥスティは捜査に協力しなかったため逮捕された」と報じている。

アリドゥスティさんはイランで最も有名な女優の一人で、インスタグラムのフォロワーは約800万人。アリドゥスティさんが主演した映画セールスマンはアカデミー賞の国際長編映画賞を受賞している。

アリドゥスティさんはインスタの中で処刑された男性に連帯を示し、「この流血を見て行動を起こさない国際機関は恥を知るべき」と書き込んでいた。

シェカリ(Mohsen Shekari)死刑囚は先週、治安要員を刃物で負傷させたとして絞首刑に処された。当局は抗議デモに関連する逮捕者を少なくとも2人処刑している。

2人目の死刑囚は建設用クレーンに吊るされ、さらし者にされた。当局はこの男性が治安要員2人を刃物で殺害したと主張している。

2人は起訴されてから数週間で処刑されている。地元の活動家によると、これまでに少なくとも12人が非公開裁判で死刑を宣告されたという。

アリドゥスティさんは9月にデモが始まって以来、自身のインスタアカウントに少なくとも3回、デモ隊との連帯を示すコメントと写真を投稿していた。

クルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんが首都テヘランで道徳警察に殴り殺された事件は発生から3カ月を迎え、今も各地で小規模なデモが続いている。

アリドゥスティさんは過去にもイラン指導部と道徳警察を批判してきた。

2020年6月、アリドゥスティさんはヒジャブを正しく着用していなかったという理由で女性が警察から暴行を受けた事件を批判したとして、執行猶予付きの有罪判決を受けた。

イラン当局はSNSでデモに連帯を示した女優のガジアニ(Hengameh Ghaziani)さんとリアヒ(Katayoun Riahi)さんも先月逮捕している。2人はその後、釈放された。

ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)などによると、治安部隊の攻撃でこれまでに民間人約500人が殺害され、数万人が負傷し、1万8200人以上が拘束された。

2022年9月20日/イラン、首都テヘラン、道徳警察の暴力とヒジャブ着用強制に抗議するデモ(Getty Images)
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