◎昨年9月にクルド人女性のアミニさんが首都テヘランで警察官に暴行を受け死亡した事件は全国規模のデモに発展した。
イランの道徳警察に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)

イラン政府は19日、昨年の反政府デモで暴動に関与したとされる男性3人の死刑を執行した。

司法省はウェブサイトに3人の氏名を掲載し、刑を執行したと発表したが、どのように執行したかは明らかにしていない。

当局によると、3人は昨年11月、全国的な抗議活動の最中に共謀して警察官1人と準軍事組織の戦闘員2人を殺害したという。

しかし、権利団体は司法省の主張を否定し、「3人は拷問を受け、自白を強要され、権利を行使する機会すら与えられず、処刑された」と非難している。

昨年9月にクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんが首都テヘランで警察官に暴行を受け死亡した事件は全国規模のデモに発展。1979年のイスラム革命で政権を奪取した指導部にかつてない圧力をかけた。

デモは治安部隊の執拗な弾圧を受けほぼ沈静化したが、多くの女性がヒジャブ(イスラム教のスカーフ)の着用を拒否するなど、小規模な抗議が各地で続いている。

このデモに関与したとされる数十人が死刑を宣告されており、今回の執行で犠牲者は7人となった。

ニューヨークに拠点を置く「イラン人権センター(Center for Human Rights in Iran)」は19日の死刑執行について、「検察が示す証拠は拷問で得たものであり、不正に満ちている」と非難した。

同センターによると、死刑に処された3人のうち1人は親族に「当局者からムチ、スタンガン、警棒などで暴行を受け、自白しなければ家族も拷問すると脅された」と証言したという。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルも死刑を「とんでもない蛮行」と断じた。

アムネスティ中東・北アフリカ担当事務所は声明で、「裁判が拷問による自白、手続きの欠陥、証拠不十分、完全非公開で行われたことに衝撃を受けている」と述べ、指導部を糾弾した。「このとんでもない裁判は指導部が生きる権利と公正な裁判を受ける権利を無視していることを示しています...」

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