イラン当局、2022抗議デモ中に警察官を殺害した男の死刑執行
今回の死刑執行の背景にあるのは、2022年9月にアミニさん(当時22歳)が、不適切なスカーフの着用を理由に風紀警察に拘束され、その後急死した事件である。
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イラン当局が2022年に発生した全国規模の反政府抗議デモの際、警察官を殺害したとして有罪判決を受けていた男性の死刑を執行した。国営ファルス通信が13日に報じた。
死刑が執行されたのは、モハマド・ゴバドルー(Mohammad Ghobadlou)氏である。報道によると、ゴバドルー氏は2022年、クルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんの死をきっかけに勃発した抗議デモの最中、テヘラン近郊で車を警察の列に突っ込ませ、警察官1人を死亡させ、数人を負傷させた罪に問われていた。
ゴバドルー氏はその後、「地上に腐敗を広める罪(Mofsed-e-filarz)」という罪状で有罪判決を受けた。これはイランのイスラム法において最も重い罪の一つであり、国家安全保障に対する重大な脅威とみなされる。刑は12日の早朝に執行されたという。
今回の死刑執行の背景にあるのは、2022年9月にアミニさん(当時22歳)が、不適切なスカーフの着用を理由に風紀警察に拘束され、その後急死した事件である。この事件を契機に、イラン全土で「女性、命、自由」をスローガンに掲げた大規模な反政府デモが巻き起こった。
指導部はこの動きを「外国勢力による扇動」と断じ、治安部隊を投入して弾圧した。人権団体によると、一連の騒乱で抗議参加者を含む500人以上が死亡し、数千人が拘束された。ゴバドルー氏はこの騒乱に関連して死刑が執行された少なくとも9人目の人物となった。
ゴバドルー氏の死刑執行に対し、人権団体や弁護団からは強い批判の声が上がっている。国際的な人権監視団体や一部の法学者からは、イランの裁判プロセスが不透明であり、被告に十分な法的弁護の機会が与えられていないとの指摘が絶えない。
特に今回のケースでは、弁護側が「受刑者には長年の精神疾患(双極性障害)の既往歴があり、犯行当時は判断能力が著しく減退していた」と主張していた。弁護団は最高裁判所に再審を求めていたが、最終的に執行を止めることはできなかった。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルなどはこの執行を「不当な裁判に基づく処刑」と非難し、イラン当局に対して死刑執行の即時停止を強く求めている。
一方で、当局は法執行の正当性を強調している。政府側はデモに乗じた治安部隊への攻撃はテロ行為と同義であり、法に基づいた厳正な対処が必要であるとの立場を崩していない。今回の執行も、社会の秩序を乱し法執行官の命を奪ったことに対する正当な報いであるとの声明を出している。
イランでは近年、麻薬犯罪や政治的な事案を含め、死刑の執行件数が増加傾向にある。国際社会からの制裁や非難が続く中でも、指導部は国内の引き締めを優先し、反体制的な動きを力で抑え込む姿勢を鮮明にしている。今回の執行は依然として燻り続ける国民の不満に対する強力な牽制(けんせい)としての意味合いも含まれているとみられる。
