◎1月21日に首都バグダッドの市場でテロリスト2名が自爆テロを決行し、少なくとも32人が死亡、100人以上が負傷した。
◎イラク軍当局は「イスラム国(IS)の攻撃」と発表した。
2021年1月21日 AP通信/イラク、首都バグダッド

イラクの地元メディアによると、1月21日に首都バグダッドの市場でテロリスト2名が自爆テロを決行し、少なくとも32人が死亡、100人以上が負傷したという。

バグダッドの商業地区で自爆テロが発生したのは約3年ぶり。

イラクは今年10月に予定されている総選挙と深刻な経済危機による政治的緊張に直面している。

現時点で犯行声明を出したグループは確認されていないが、イラク軍当局はイスラム国(IS)の攻撃と断言した。

ハッサン・モハメッド・アル・タミミ保健相は声明で、少なくとも32人の死亡を確認し、110人が負傷したと述べた。また、負傷者の中には深刻な状態にある者もおり、死亡者はさらに増加する可能性があるという。

保健省は、バグダッドの全病院の医療関係者を動員して負傷者の治療にあたっていると発表した。

イラク軍共同作戦司令部のターシン・アル・カファジ少将は記者団に対し、「1人目の自爆テロ犯は賑やかな市場の真ん中で体調が悪いと大声で叫び、人を集めたうえで、身体に装着した爆発物を爆発させた」と述べた。

ターシン・アル・カファジ少将:
最初の爆発の直後、すぐ近くで2人目が自爆した

「これはISによる攻撃である。ISは連合軍の軍事作戦で打撃を受けたという報道を否定し、自分たちの存在を知らしめようとしている」

カファジ少将はISから犯行声明が出たかどうかは明らかにしなかった。

バチカンのフランシスコ教皇は攻撃を「無意味な残虐行為」と非難し、イラク人に「暴力を友愛と平和に置き換えるために働きかけ続けてほしい」と呼びかけた。

教皇は今年3月初旬にイラクを訪問し、ISの攻撃で荒廃したキリスト教コミュニティを癒したいと述べ、バルハム・サリフ大統領にお悔やみの電報を送ったと伝えられている。

ムスタファ・アル=カーズィミー首相は、2018年に同じ地区で発生した自爆テロから数か月後、ISとの戦いに勝利したと宣言した。

イラクではここ数カ月の間に、IS(スンニ派)とシーア派民兵グループによる攻撃が多数報告されていた。

これらの民兵は、バグダッドの要塞化された米軍関連施設や米大使館などにロケットや迫撃砲などを何度も撃ち込んだと伝えられている。

しかし、昨年10月にイランの支援を受ける武装グループが非公式の停戦を宣言して以来、攻撃のペースは落ちていた。

カーズィミー首相の勝利宣言後もISおよびその関連グループは活動を継続しており、イラクの治安部隊当局者は「北部地域における攻撃は以前より巧妙化している」と述べた。

イラクの治安部隊によると、キルクークやディヤラの農村地域で待ち伏せおよび爆弾攻撃が頻発しているという。

今回の自爆テロはイラク政府が10月に総選挙を行うことに全会一致で合意した数日後に発生した。

米軍はイラクの駐留兵の数を徐々に減らしており、連合軍の弱体化がISを復活させると懸念されている。

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