◎タリバンはこれまでに34ある州都のうち少なくとも8つを占領し、さらに攻勢を強めると予想されている。
アフガニスタンの現地メディアによると、タリバンは新たに3つの州都と地方軍本部を占領し、国の北東部で展開していた電撃戦はほぼ完了したという。これによりタリバンは国土の約3分の2を征服し、戦闘員は他の州都に移動したと伝えられている。
アフガニスタン軍は最重要拠点のひとつと見なされている北部クンドゥズ州の州都クンドゥズを失い、さらに北東部のバダフシャーン州、バグラーン州、ファラー州の州都もタリバンに占領された。
アシュラフ・ガニー大統領は11日、タリバンの支配下に置かれた地域に囲まれているバルフ州に兵士を送り、仲間を助けるよう命じた。
また、現地メディアによると、ガニー大統領は新たな作戦を指示すると同時に、陸軍参謀長を変更したという。変更の理由は明らかにされていないが、AP通信は、「ガニー大統領はワリ・アフマザド将軍の後任にヒバトゥラ・アリザイ将軍を指名した」と報じた。
アリザイ将軍は国軍の特殊部隊の元指揮官を務めていた。
一方、国連は10日、過去数週間の電撃戦の舞台になった南西部ヘルマンド州の州都ラシュカルガー、南部カンダハール州の州都カンダハール、西部ヘラート州の州都ヘラート、そしてクンドゥズだけで、子供を含む民間人180人以上が殺害され、1,000人以上が死傷したと述べ、タリバンの「戦争犯罪」を非難した。
また、一連の混乱の影響で首都カブールに逃れる市民が相次ぎ、米軍とNATO軍の撤退作戦開始以来、推定27万人が国内避難民になり、その数はここ数日の戦闘でさらに急増した可能性が高いという。
首都カブールはまだ脅威に直面していないが、アフガニスタン政府がタリバンの驚異的な侵攻に対処できるかどうかは不明。国軍は首都を含む主要地域を死守するために、他の都市を捨てる可能性がある。
国際戦略研究所の陸戦担当上級研究員を務めるベン・バリー氏はアフガニスタンの現状について、「国軍はタリバンを止めるのではなく、押し戻すもしくは圧倒できることを示さなければならない」と警告した。「タリバンは米軍という後ろ盾を失ったアフガン軍に勝てると確信しています...」
アメリカ主導の連合軍は2001年10月のアフガン侵攻でタリバンを含むジハード軍を国外に追放した。この中には9.11同時多発テロの首謀者であるアルカイダのウサーマ・ビン・ラーディンも含まれていた。
米軍とNATO軍は8月末までに撤退作戦を終える予定であり、米国中央軍の撤退はすでに95％以上完了している。ジョー・バイデン大統領は先日、タリバンの侵攻の有無にかかわらず、撤退は宣言通り9月11日までに完了すると述べ、「アフガン軍は自分たちの力でタリバンを押し返さなければならない」とアフガン政府を突き放した。
AP通信とABCニュースは11日、米軍の諜報活動記録の一部を報じた。それによると、首都カブールは30日以内にタリバンを含むジハード軍の侵攻にさらされる可能性が高く、現在の電撃戦の勢いを抑えることに失敗すれば、タリバンは3か月以内に全土を支配できるという。
首都カブールの公園や道路に集まった子供を含む数千人の避難民は食事と水を求めている。クンドゥズ州出身の男性はロイター通信の取材に対し、「町はタリバンに破壊されたため、妻と娘2人を連れて首都に避難した」と述べた。「私は通りで食べ物と香辛料を売っていましたが、タリバンに全て奪われました。パンを買うお金もありません。子供はお腹を空かせています。娘は道路の端で寝ました」
北部の都市から避難した女性もお金はなく、助けてほしいと訴えた。
国連を含む人道支援団体は国内避難民の増加と、多くの国民がタリバンの支配下で困難な生活を強いられることに強い懸念を表明している。
タリバンはこれまでに34ある州都のうち少なくとも8つを占領し、さらに攻勢を強めると予想されている。ワシントン・ポスト紙は匿名の政府当局者のコメントを引用し、「首都カブールは90日以内に陥落する可能性が高い」と報じた。
一方、トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領はCNNトルコのインタビューの中で、「米軍とNATO軍の撤退後、カブール空港の運営と保護を検討しており、タリバンの指導者と会談する可能性がある」と述べた。「アフガニスタンの平和を確保するためには、トルコ軍の最高レベルの保護が必要不可欠です」
ドイツとオランダ政府は11日、アフガニスタンの治安悪化を受け、国内からアフガンへの強制送還を一時停止すると発表した。
