アベンジャーズ

マイティ・ソー」ことソー・オーディンソンは愛用のムジョルニアを振り回し、どこからともなく現れたロボット集団をボコボコにする。

アスガルドという名の神の国から地球を長年保護してきた雷の男は、コミック、テレビ、そして最近では映画の世界で大活躍した。

今回、ゲームの世界に進出したソーの見た目と声は、世界が知っているそれとは多少異なる。そして、モニターの中にいる彼は、プレーヤーによって異なった動きや振る舞いを見せるだろう。

クリスタル・ダイナミックスが開発した「アベンジャーズ(原題:Marvel's Avengers)」は、昨年大ヒットした映画「アベンジャーズ エンドゲーム」などに登場するマーベルヒーローを操作するアクションアドベンチャーゲームである。

ゲーム内のソーに命を吹き込んだ俳優によると、この作品は大成功を収めた映画シリーズの単なる模倣ではないという。

トラヴィス・ウィリンガム氏は、BBC Radio 1 Newsbeatに出演し、以下のように語った。

トラヴィス・ウィリンガム氏:
「アベンジャーズ最大の魅力は、プレーヤーが映画を、物語を作ることである」

「映画を見る時、あなたは受動的にならざるを得ない。しかし、このゲームをプレイし物語を作っている時、あなたは能動的だ」

映画の中でスカーレット・ヨハンソン氏が演じた「ブラック・ウィドウ」ことナターシャ・ロマノフは、ローラ・ベイリー氏が演じた。

ベイリー氏は、本作と映画の違いを”選択”と述べた。

ローラ・ベイリー氏:
「プレーヤーは、皆が憧れるヒーローを自由自在に操作し、彼らの行動を選択できる

「ヒーローたちはプレーヤーが望むように行動し、望む姿に進化する。キャラクターを強化したり見た目を変えることもできるため、自分がモニターの中で戦っているような気持ちになれるだろう」

ウィリンガム氏とベイリー氏はカリフォルニアの自宅でソファを共有している。現実世界の二人は結婚、モニター内の二人が演じたヒーローはアッセンブル。ただし、ブラック・ウィドウとソーは結婚していない。

ウィリンガム氏は大成功を収めているマーベルの映画フランチャイズ、マーベル・シネマティック・ユニバースとゲームとの避けがたい比較や様々な意見を喜んで受け入れると述べた。

トラヴィス・ウィリンガム氏:
「私はクリス・ヘムズワースの演じたソーが大好きだ。そして、映画シリーズは私が演じたソーに大きな影響を与えた。全くのオリジナルにするなどあり得ないし、できないと思った」

「ソーは突然不機嫌になり、また攻撃的にもなる。しかし、彼は非常に明白な弱点、長所ともとれる”親しみやすい性格”で仲間を盛り上げてくれる」

Marvel's Avengers - Official Cinematic Trailer

昨年、本作の映像が初めて公開された時、登場するヒーローたちは人気俳優が演じたそれとは異なり、”やや穏やかな感じ”に見え、さらに大ヒットした映画と比較されやすい環境にあった結果、批判を浴びた。

本作のアニメーションは、ゲーム業界で活躍する素晴らしい俳優たちによって作られている。

累計販売本数2,000万本を突破した大ヒットアドベンチャーゲーム、”アンチャーテッド”シリーズの主人公を演じたノーラン・カース氏や、同じく世界中で大ヒットしている”ラスト・オブ・アス”のトロイ・ベイカー氏は、ゲーム業界を牽引する人気俳優である。

そして、ウィリンガム氏は”スパイダーマン”でヴィランのキングピンを、ベイリー氏はラスト・オブ・アス2でアビーを演じ、高評価を得ている。

アベンジャーズは三人称視点で進み、”Destiny 2”や”The Division”などと同じく、様々なミッションをクリアし、選択したキャラクターの能力、装備、ステータスを向上させる。

これまでのレビューはまちまちである

一部の批評家は、多様性の欠如や技術的な問題を指摘した。しかし、ヒーローのパフォーマンスや「映画をプレイしている」という感覚に感動した、という声も多い。

ウィリンガム氏とベイリー氏は、アベンジャーズの行動と活躍を本作で初めて知ったプレーヤーが、ヒーローのファンになることを期待している。

ソー・オーディンソン/Marvel's Avengers

イスラム教徒のスーパーヒーロー

本作には、おなじみのキャプテン・アメリカ、アイアンマン、ハルクなどの中に新しいヒーロー、「カマラ・カーン」が加わっている。

自分の身体を自在に変化させるイスラム教徒、パキスタン系アメリカ人の少女は、「ミズ・マーベル」と呼ばれるマーベルの最新ヒーローのひとりである。

昨年、本作の販売元であるスクウェア・エニックスは、カマラ・カーンを主要プレイアブルキャラクターの1人に選び、その視点を物語の中心にすると発表、ファンと業界関係者から称賛された。

カマラ・カーンは、2014年に発売されたコミック、「キャプテン・マーベル」で初登場した。なお、開発者はイスラム教徒のアメリカ人、マーベルのクリエイターを務めるサナ・アマナット氏などである。

アマナット氏は、カマラ・カーンと似た背景を持つ女性から共感されるヒーローを作りたかったと述べた。

サナ・アマナット氏:
「イスラム教徒のカマラ・カーンがマーベル史上最大のゲームで活躍することは、完全に常軌を逸していた」

「彼女を本作の主要キャラクターに選んだことは、理にかなっている。様々なバックグラウンドを持つ人々が彼女の活躍に興奮する。キャプテン・アメリカとアイアンマンの横にムスリムの少女が立ち、世界を救うために奮闘するのだから」

ミズ・マーベルと呼ばれるキャラクターは1976年からいくつかのコミックに登場しており、キャロル・ダンヴァース(キャプテン・マーベル)がその代表格である。

1977年、原作コミックの潮流を大きく変えたキャラクターがキャプテン・マーベルであり、2012年には二代目(モニカ・ランボ―)も誕生した。

キャプテン・マーベルは2019年に映画化され、主役のキャロル・ダンヴァースをブリー・ラーソン氏、モニカ・ランボーをアキラ・アクバル氏が演じている。

2014年、ジャージーシティで育った16歳のパキスタン系アメリカ人のカマラ・カーンは、身体の形を自在に変化させる特殊能力者、超人類インヒューマンとして紹介された。

本作の開発元、クリスタル・ダイナミックスのスコット・アモス氏は、カマラ・カーンの持つ可能性、そしてインクルージョンに圧倒されたと語った。

スコット・アモス氏:
「キャプテン・アメリカ、アイアンマン、ソーなどの象徴的なヒーローの中に彼女がいる」

「本作をプレイしたすべての世代、あらゆるプレーヤーは、多様性の重要性を認識すると同時に、それは当たり前のことであって、誰もが主役になり得ると感じ取れるはずだ」

ミズ・マーベルはまだ実写映画化されていない。マーベルスタジオは、2022年にこのキャラクターの単独作品をDisney+で放映する予定である。

なお、アベンジャーズシリーズに欠かすことのできない弓を持った中年男性、「ホークアイ」ことクリント・バートンは本作に登場しないと思われていた。

パッケージや予告編に彼の姿がなかった時、多くのマーベルファンは、「ホークアイがいない」「彼はアベンジャーズを解雇されたのか?」と大騒ぎになった。

しかし後日、クリント・バートンは帰ってくるという予告が公開された。さらに、別のヒーローもプレイアブルキャラクターとして追加されることが決まっている。

弓を持った中年男性のファンは安心してほしい。

カマラ・カーン/Marvel's Avengers

弓を持った中年男性/Marvel's Avengers

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