◎スペインを含む地中海に面する国々では山火事が多発しており、8月上旬時点で43件の「大規模な山火事」が確認されている。
2022年8月19日/スペイン、東部バレンシア州郊外で発生した山火事(Alberto Saiz/AP通信)

スペイン政府は19日、東部バレンシア州郊外で発生した山火事の1つが強風にあおられ急拡大したと発表した。

消防当局によると、同州には消防飛行機が35機配備され、24時間体制で消火作業に当たっているという。

強風にあおられ急拡大した山火事の焼失面積は190㎢を超え、延焼中。州政府は声明で、「消防士たちは風下側に水をまき、木を切り倒し、延焼を防ごうとしたが、失敗に終わった」と述べている。

隣国ポルトガルでも炎が猛威を振るっている。

ポルトガル政府は19日、スペイン国境付近など、広い範囲で延焼が続いていることを受け、全国を対象とする厳戒態勢に移行すると発表した。期間は21日から3日間の予定。

この措置は森林への立ち入りを禁じるなど、政府に特別な権限を与えるもので、この夏3度目の猛烈な熱波がアフリカ大陸から接近しつつあることを受け準備されている。気象当局は21日の最高気温について、広い範囲で40度を超えると予想している。

ポルトガル内務省の報道官は別の記者会見で、森林警備に軍を導入すると発表した。また報道官は、消防士500人を追加雇用する資金も確保したと説明した。

一方、スペインのバレンシア州で16日遅くに発生した列車の事故では、乗客4人が車外で大やけどを負い、今も入院中である。この列車は誤って山火事エリアに侵入し、一部の乗客がパニックを起こし列車から飛び降り火傷を負った。

州政府報道官は19日の会見で、「列車が山火事エリアに突入した理由をハッキリさせなければならない」と述べ、消防や関係機関に報告を求めていると明らかにした。

欧州森林火災情報システム(EFFIS)によると、スペインの今年の焼失面積は19日時点で3000㎢近くに達した。集計を開始した2006年から2021年までの平均焼失面積は約670㎢である。

スペインを含む地中海に面する国々では山火事が多発しており、8月上旬時点で43件の「大規模な山火事」が確認されている。平年は10件前後だ。

2022年8月18日/ポルトガルとスペインの国境近く(Joao Henriques/AP通信)
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