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欧州熱波:猛暑続く中、気候変動に強い農業への転換進む

欧州では今後、再生型農業や土壌改良、作物の多様化などを組み合わせ、気候変動に適応した農業をどう普及させるかが課題となる。
2026年6月24日/フランス、パリ、エッフェル塔近くの噴水(AP通信)

欧州で記録的な猛暑や干ばつが続く中、気候変動に強い農業への転換を進める動きが勢いを増している。イギリスでは今年、観測史上最も暑い夏になる見通しで、6月は過去最高気温、7月は過去最少の降雨量を記録した。イングランドの4分の3に干ばつ警報・注意報が発令されるなど、農業への影響が深刻化している。欧州全体でも今年、5つの熱波が発生し、極端な高温と少雨が農作物や家畜に打撃を与えている。

その一方で、イギリス南東部の約200エーカーの牧場では、周囲の茶色く乾燥した農地とは対照的に、緑豊かな牧草地が広がっている。牛を飼育する農家のサム・スクワイア(Sam Squire)氏は、イネ科の牧草に加え、深く根を張るハーブ類やマメ科植物を組み合わせた「ハーバルレイ」と呼ばれる牧草地を整備してきた。土壌の構造を改善し、水分を保持しやすくすることで、乾燥した年でも牧草が生育しやすくなるという。同氏の牧場では8年間、冬用の飼料を購入せずに済んでいる。

こうした再生型農業は土壌の健康を高めることで、干ばつや大雨などの極端な気象への耐性を高めることを狙う。化学肥料や農薬、家畜向けの薬剤への依存を減らせる可能性もあり、長期的には生産コストの抑制や収量の安定につながると期待されている。

異常気象による農業被害は、すでに経済的にも無視できない規模に達している。イギリスや欧州連合(EU)では、今年の極端な気象による農業損失が推計23億ユーロに上る。こうした状況を受け、農家だけでなく銀行や保険会社、水道事業者、政府、食品大手も農業の転換を後押ししている。マクドナルドやマッケインなどの食品企業も、持続可能な農法への移行を支援している。

背景には、気候変動が単なる環境問題ではなく、食料供給網や企業経営そのものを脅かす問題になったとの認識がある。従来の農業は、できるだけ低コストで大量生産することを重視してきた。しかし、猛暑や干ばつが頻発すれば、従来型の生産方式では安定供給が難しくなる。農家を支援する金融機関や保険会社にとっても、気候リスクを抑えることは事業継続に直結する。

欧州では今後、再生型農業や土壌改良、作物の多様化などを組み合わせ、気候変動に適応した農業をどう普及させるかが課題となる。異常気象が常態化する中、環境負荷を減らすだけでなく、食料生産そのものを守るための農業改革が求められている。

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