◎ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は西側のコロナワクチンを却下し、ロシアと中国のワクチンを主に全国展開しているが、ワクチン接種率は伸び悩んでいる。
2021年11月12日金曜日、コロンビア、ノルテ・デ・サンタンデール県ククタのコロナワクチン接種センター(Fernando Vergara/AP通信)

ベネズエラの現地メディアによると、多くのベネズエラ人が国内で流通しているコロナワクチンを信用せず、一部の国民は隣国コロンビアでワクチンを接種しているという。

AP通信の取材に応じたベネズエラのシオマラ・ルイス氏とその家族は、コロンビアの国境の町ヴィラデルロザリオの接種センターでワクチンを接種した。

ルイス氏はAP通信に、「地元に届いた子供用ワクチンは信用できない」と述べた。ベネズエラ政府はキューバで開発された12歳未満用のコロナワクチン「ソベラナ」を8月に承認し、深刻な懸念を引き起こした。イランもこのワクチンを6月に承認している。

ルイス氏は、「米国と世界保健機関(WHO)はソベラナを承認しておらず、信用できない」と述べた。

ラテンアメリカの問題児であるベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は西側のコロナワクチンを却下し、ロシアと中国のワクチンを主に全国展開しているが、ワクチン接種率は伸び悩んでいる。

保健当局のまとめによると、人口当たりの完全接種率は11月10日時点で約32%、少なくとも1回接種した人は約48%。

ベネズエラの医療システムは政府の管理ミス、インフレ、医薬品不足、汚職などの影響でほぼ崩壊しており、多くの国民が隣国で治療を受ける事態に陥っている。しかし、コロナの感染拡大に伴う渡航禁止令の影響でコロンビアへの入国は困難になっており、ワクチン接種率の低迷とそれに伴う感染者の増加に拍車をかけた。

これに対し、コロンビアの国境沿いの州は先月、ベネズエラ人に対するコロナワクチンの提供を正式に開始すると発表した。コロンビア政府はWHOが承認した西側のワクチンのみ採用している。

地元メディアによると、国境検問所のあるコロンビアの北サンタンデル州は10月25日以来、ベネズエラ人34,000人以上にワクチンを提供したという。同州の州都ククタの1日あたりのワクチン接種数は10月末頃から以前の約2倍に増加したと伝えられている。

コロンビアのワクチン完全接種率は11月10日時点で人口の約44%、少なくとも1回接種した人は約63%。

ベネズエラの国境の町サンアントニオで生活するエドゥアルド・サンチェス氏は、コロンビアでアストラゼネカワクチンを接種できると聞き、国境の橋を渡った。

サンチェス氏はAP通信に、「政府は中国のワクチンを展開しているが、信用できない」と述べた。「私は認知度の高いワクチンがいいです。子供にはファイザーワクチンを接種させたいです...」

WHOは中国のシノバックとシノファームワクチンの緊急使用を許可している。

ベネズエラ政府は10月21日にキューバ産の子供用コロナワクチン「ソベラナ」を2歳~12歳の児童に提供すると発表したが、医療関係者はこの決定に強く反対した。ソベラナは専門家による評価を受けていないと批判されている。

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