◎イギリスの医薬品・医療製品規制庁(MHRA)、オックスフォード大学とアストラゼネカの科学者が開発したコロナウイルスワクチンの使用を承認。
◎オックスフォードワクチンは標準タイプの「冷蔵庫」で保管できるため、インフラの整っていない地方都市でも容易に輸送できると期待されている。
オックスフォード大学

BBCニュースによると、イギリスの医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、オックスフォード大学とアストラゼネカの科学者が開発したコロナウイルスワクチンの使用を承認したという。

イギリスの感染状況は春の第一波を上回る勢いで悪化しており、関係者は同ワクチンの承認を心待ちにしていた。

イギリス政府はアストラゼネカに1億回分(5,000万人分)のワクチンを注文している。

MHRAによる承認は、ワクチンが安全かつ効果的であることを意味する。

オックスフォードワクチンの開発は2020年初旬から始まり、4月にボランティアへの接種を開始した。その後、ワクチンは2万人以上に接種され、米ファイザー社やモデルナ社と同規模の臨床試験を行ってきた。

今回のオックスフォードワクチン承認に伴い、イギリス国内で流通するワクチンは2種類になった。(ファイザーワクチン:12月初めに承認)

イギリス国内におけるファイザーワクチンの接種は12月8日から始まり、英当局によるとこれまでに60万人以上が1回目の接種を終えたという。

Getty Images

オックスフォードワクチンはファイザーワクチンより「安価で大量生産しやすい」と伝えられており、医療体制の脆弱な開発途上国への供給を期待されている。

また、ファイザーワクチンはマイナス75℃前後の超低温で保管しなければならないが、オックスフォードは標準タイプの「冷蔵庫」で保管できるため、インフラの整っていない地方都市でも容易に輸送できると考えられている。

イギリス政府は高齢者、介護施設の入居者、医療従事者などへの接種を進めており、マット・ハンコック保健相はBBCニュースの取材に対し、「イギリスの全人口をカバーするのに十分な量のワクチンを確保できた」と述べた。

マット・ハンコック保健相:
「オックスフォードは1億回分。ファイザーの3,000万回分に加えると、イギリスの全人口に2回ワクチンを接種できる」

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、イギリスの累計感染者数は12月30日時点で238万人、累計死亡者は71,567人。12月29日の新規陽性者数は過去最高を更新する53,135件、死亡者は414人だった。

オックスフォードワクチンについて

・62~90%の確率で接種者を保護する。

・成人限定。

・2回接種する必要がある。臨床試験の結果、1回目と2回目の間隔は3か月が最も効果的と伝えられている。

・臨床試験中に原因不明の副反応が報告されている。(一部メディアは横断性脊髄炎と報じたが、詳細は不明。アストラゼネカは守秘義務を理由に情報を開示していない)

標準的な冷蔵庫で保管可能

・ファイザーワクチンよりはるかに輸送しやすい。

・コロナウイルス変異種に対しても効果があると期待されている。

種類保護率
接種回数
試験数
(公表数)
保管条件
期間
費用
ファイザー95%
2回
43,538人-75℃
5日
20ドル
モデルナ94.5%
2回
30,000人-20℃
6カ月
33ドル
オックスフォード62-90%
2回
24,000人冷蔵庫
4ドル
スプトーニクV92%
2回
20,000人冷蔵庫
10ドル

コロナウイルスワクチン:分かっていないこと

・妊娠中の女性や免疫力が低下している人に対しての使用可否および効果。

・18歳以下への効果。(子供を対象とする臨床試験はまだ行われていない)

・HIV/AIDS患者やコロナウイルスから一度回復した人への効果。

・アレルギー反応を引き起こす可能性あり。

・接種者はコロナウイルスから保護されるが、「ウイルスの拡散を防ぐ効果があるかどうか」はまだ分かっていない。

・接種者はコロナウイルスから完全に保護される?症状から保護される?

免疫を保持できる期間は?

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