◎金正恩 党総書記は15日に開かれた政治局会議の中で政府高官と公衆衛生部門の「無責任な勤務態度」と組織・実行能力を批判した。
2022年5月15日/北朝鮮、首都平壌の薬局を視察する金正恩 党総書記(Korean Central News Agency/Korea News Service/AP通信)

北朝鮮の国営メディアは16日、「原因不明の発熱」で新たに8人が死亡し、39万2920人の新規発熱患者を報告した。

金正恩 党総書記は公衆衛生部門を叱りつけ、首都平壌の感染拡大を抑え医薬品の供給を安定させるよう軍に命じた。

朝鮮中央通信(KCNA)によると、4月下旬以降に確認された発熱患者は120万人を超え、16日時点で56万4860人が隔離されているという。また、この24時間で新たに8人が死亡し、期間中の死者は50人となった。

KCNAは新規発熱と死者の中にコロナウイルス感染者がいたかどうかを明らかにしていない。

韓国の専門家は北の医療体制、進行中の食料危機、コロナワクチン未展開を考えると、オミクロン株の感染拡大は大量死につながる可能性があると指摘している。

キムは世界保健機関(WHO)主導のコロナワクチン展開プログラムCOVAXの支援を拒否しており、恐らく国民2600万人の大多数はワクチンを接種していないとみられる。

北は2年以上コロナの侵入を防いだと主張してきたが、キムは先週、ついにオミクロン株が検出されたことを認めた。

KCNAによると、キムは15日に開かれた政治局会議の中で政府高官と公衆衛生部門の「無責任な勤務態度」と組織・実行能力を批判したという。

KCNAはキムの叱咤激励を引用し、「党総書記は内閣と公衆衛生部門の担当者は腕まくりをせず、現在の危機を正しく認識せず、国民に献身的に奉仕すると語るのみで何の行動も起こしていない、と厳しく指摘した」と報じている。

またキムは備蓄している医薬品の分配を命じたうえで、「政府が調達した医薬品が国民の手に届いていない」と担当者を叱りつけた。

KCNAは「党総書記は軍の医療部隊の強力な力を投入して、平壌市内の医薬品の供給を直ちに安定させるよう担当者に命じた」と伝えている。

またKCNAによると、キムは平壌市内の薬局を電撃訪問し、適切な医薬品が供給・販売されているか確認したという。

キムは薬局に適切な医薬品在庫がないことを「発見」し、販売員も適切な個人用防護具(PPE)を着用していないと指摘した。

北は「オミクロン株の治療に関する知識と理解が不足している」と認め、中国のゼロコロナ政策を参考に防疫を確立すると発表している。

北は2020年1月から厳格な国境封鎖を維持しているが、専門家はこの脆弱な国でオミクロン株が広がるのは時間の問題と指摘していた。

2021年5月25日/北朝鮮、首都平壌の郊外(Jon Chol Jin/AP通信)
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