Ｊ＆Ｊコロナワクチンは接種後の血栓症発生に伴い、展開を停止する

◎脳静脈洞血栓症（CVST）を発症した6人のうち1人は死亡し、5人は重篤な症状で入院中。発症者は全て女性で年齢は18歳～48歳。1回目の接種後、6日～13日で症状が現れたと伝えられている。基礎疾患の有無は明らかにされていない。

4月13日、米食品医薬品局（FDA）は声明で、ジョンソン・エンド・ジョンソンのコロナワクチンの接種を受けた6人が血栓症を発症したため、展開の一時停止を推奨すると述べた。Ｊ＆Ｊワクチンはアメリカ国内で約700万人に投与されている。

FDAの勧告を受け、アメリカ、EU、南アフリカ政府はＪ＆Ｊワクチンの展開を一時停止すると発表した。

Ｊ＆Ｊ社のスポークスマンも、「今週始まったEU向けのワクチン展開を停止する」と述べた。

FDAは声明の中で、「独立した調査が完了するまで、Ｊ＆Ｊワクチンの展開停止を推奨する」と述べた。報告によると、脳静脈洞血栓症（CVST）を発症した6人のうち1人は死亡し、5人は重篤な症状で入院しているという。発症者は全て女性で年齢は18歳～48歳。1回目の接種後、6日～13日で症状が現れたと伝えられている。基礎疾患の有無は明らかにされていない。

アメリカ国内の全ての連邦ワクチン接種サイトは、安全性に関する独立した調査が完了するまでＪ＆Ｊワクチンの使用を停止した。

Ｊ＆Ｊワクチンは1回投与タイプのワクチンとして承認されており、標準的な冷蔵庫で保存できるため、医療設備やインフラの整っていない国での展開を期待されている。

FDAはＪ＆Ｊワクチンの緊急使用を2月27日に承認したが、米国内で流通しているワクチンの大半はファイザー社とモデルナ社のものである。Ｊ＆Ｊワクチンの米国内の接種数は4月13日時点で約700万回、総接種数の約3％ほどだった。

バイデン政権のコロナウイルス対策チーム最高顧問を務める国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ博士はABCニュースのインタビューの中で、「許可を取り消すかどうかの議論は時期尚早」と述べた。

Ｊ＆Ｊワクチンの接種を最初に始めた南アフリカでは血栓の症例は確認されていないが、FDAの勧告を受け、政府は接種を一時停止すると発表した。

臨床試験の結果、Ｊ＆Ｊワクチンは他のワクチンより南アフリカの変異種に対する保護率が高いことが示されている。南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領はＪ＆Ｊを接種した。

世界保健機関（WHO）はロイター通信の取材に対し、「状況を注視し、アメリカと欧州の規制当局の報告を待つ」と述べた。ただし、EU向けのＪ＆Ｊワクチンの配送は始まったばかりであり、EU規制当局はFDAの調査結果に基づき使用可否を判断すると伝えられている。

イギリスはＪ＆Ｊワクチンを3,000万回分、カナダは1,000万回分予約している。カナダのジャスティン・トルドー首相は声明で、「最初の供給は4月末に受け取る予定」と述べた。「私たちはアメリカの動向を綿密に追跡しています」

米疾病予防管理センター（CDC）はFDAとの共同声明の中で、「Ｊ＆Ｊワクチン接種後に発生した6件の血栓症の報告とそれに関連するデータを調査している」と述べた。

声明によると、6人が発症した「脳静脈洞血栓症（CVST）」は、通常の血栓症とは異なる治療が必要だという。CDCは、「Ｊ＆Ｊワクチン接種後、3週間以内に激しい頭痛、腹痛、脚の痛み、息切れを確認した人は、医療機関に連絡し、適切な治療を受ける必要がある」と述べた。「一般的な血栓症の治療薬であるヘパリン（抗凝固薬）の使用は患者に悪影響を及ぼす可能性があり、危険かもしれません」

Ｊ＆Ｊ社は、ワクチン接種後に発生した全ての事象を保健当局と共有していると声明を発表した。「ワクチン接種後、一部の患者がCVSTを含む血栓症を発症したことを認識しています。ただし、現時点で、これらの血栓症とＪ＆Ｊコロナワクチンの因果関係は証明されていません」

英アストラゼネカ社も血栓症問題に直面している。ただし、アストラゼネカワクチンと血栓症の因果関係も証明されていない。

アストラゼネカワクチンの血栓症発症率は約100万分の1。Ｊ＆Ｊワクチンとほぼ同じである。

Ｊ＆Ｊのワクチンについて

・1回投与。

・冷蔵庫で保存できる。

・超低温保存を必要としないため、輸送しやすい。

・18歳の以上の人々に十分な安全を保証できる。