◎危機的な状況にあるオーストリアでは極右組織主催のデモが行われ、数万人が首都ウィーンを行進した。
2021年11月20日/オーストリア、首都ウィーン、政府のコロナ対策に反対する抗議デモ(Florian Schroetter/AP通信)

11月20日、コロナウイルスの感染再拡大に直面している一部の欧州諸国で政府の対策に反対する抗議デモが開催された。

危機的な状況にあるオーストリアでは極右組織主催のデモが行われ、数万人が首都ウィーンを行進した。

AFP通信などによると、スイス、クロアチア、北アイルランド、オランダ、イタリア、フランスでも大規模なデモや暴動が確認されたという。

22日から全国封鎖を開始するオーストリアの直近1週間の陽性者は10万人あたり1,000件を超え、1日あたりの死亡者はここ数週間で3倍に増加した。全国封鎖は20日間続く予定。

オーストリア政府は2022年2月1日からコロナワクチン接種を義務化する予定である。同国の完全接種率は11月19日時点で約66%。

ウィーンの英雄広場に集まった抗議者たちは「抵抗」と唱え、一部の団体はアレクサンダー・シャレンバーグ首相とウォルフガング・ミュクシュタイン保健相をあざける看板を掲げながら行進した。

現地メディアによると、デモには反ワクチンを掲げる極右の自由党、MFG党、アイデンティタリアなどの政党関係者が複数参加したという。警察は1,300人態勢で警戒にあたり、数人を拘束したと発表したが、詳細は明らかにされていない。一部の暴徒は警察官にビンを投げつけ、花火を撃ちこんだため、警察は唐辛子スプレーで応戦した。

シャレンバーグ首相は19日、公共放送ORFのインタビューの中で、ワクチン接種を終えた国民に謝罪した。「政府の方針に基づき、多くの国民がワクチンを速やかに接種してくれました。皆さんを封鎖下に置くことは本当に心苦しいです...」

スイスでは約2,000人がコロナ制限法案の賛否を問う国民投票の実施に反対した。国民投票で承認されれば、議会は法制化に向けた手続きを開始する。

オランダの首都アムステルダムでは主催者がデモの中止を発表したにもかかわらず、数千人が中央広場に集まった。19日にロッテルダムで発生した暴動では少なくとも7人が負傷した。

アムステルダム在住の男性はAP通信に、「政府のコロナ対策は分断を煽っている」と語った。「ワクチン接種者と未接種者の間には、政府が造った大きな壁があります。オランダ人はワクチン接種の有無にかかわらず、友情を築かなければなりません」

オランダ南部の都市ブレダでは数百人が行進した。デモに参加した女性は地元メディアに、「政府のコロナ対策には反対だが、ロッテルダムの暴動は支持しない」と述べた。

ローマのチルコ・マッシモに集まった抗議者の大半はマスクを着用していなかった。

北アイルランドの政府庁舎近くに集まった数百人は、コロナワクチンパスポートの導入に反対した。北アイルランド政府は今週、12月13日から国内の飲食店にパスポートシステムを導入する法案を可決した。

クロアチアの首都ザグレブに集まった数千人の抗議者は、ワクチンに反対する旗や宗教のシンボルを掲げた。

フランスの海外県のひとつであるグアドループでは、一晩で抗議者29人が拘束された。AFP通信によると、グアドループの抗議者たちは道路を封鎖し、車に火をつけ抗議したという。抗議者たちはフランス政府のコロナパスシステムと医療従事者のワクチン接種義務に反対している。

2021年11月20日/クロアチア、首都ザグレブ、政府のコロナ対策に反対する抗議デモ(Getty Images/AFP通信)
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