◎ファウチ博士「マスクを着用し、社会的距離のルールを守り、混雑を避け、こまめに手洗いを行ってください…」
2021年5月26日/ワシントンD.C.議会議事堂で開催された上院歳出委員会の公聴会、アンソニー・ファウチ博士(Stefani Reynolds/Pool/AP通信)

11月28日、ホワイトハウスのコロナ対策最高顧問を務める国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ博士は、新しいコロナ変異ウイルス「オミクロン株」は必ず米国に侵入すると想定し、ワクチンを速やかに接種したうえで基本的な感染予防対策を徹底してほしいと国民に呼びかけた。

ファウチ博士はABCニュースのインタビューの中で、「オミクロン株は他の変異株とは異なる進化を遂げている」と述べ、「それに備えることが最も重要」と述べた。

オミクロン株(B.1.1.529)は南アフリカで最初に確認されたが、どこで誕生したかは分かっていない。世界保健機関(WHO)は先週、初期データに基づきオミクロン数を「懸念される変異種」に指定し、感染力の強さと他の変異株より「再感染のリスク」が高いことを示唆していると明らかにした。

米国は南アフリカを含むアフリカ大陸南部の8カ国に対する渡航禁止令を発効し、それらをレッドリストに追加した。

ファウチ博士は「入国制限は違いを生むか?」という質問に対し、「オミクロン株がデルタ株のような感染力であれば、侵入を防ぐことはできないだろう」と述べた。「入国制限は拡散を抑えるうえで重要ですが、侵入を防ぐことはできないでしょう。米国はオミクロン株を理解し、備える必要があります」

またファウチ博士はオミクロン株の初期データについて、「それは恐らく、モノクローナル抗体やワクチン接種で得られる抗体を回避する可能性があると示唆している」と述べ、WHOの見解を支持した。

ファウチ博士は「オミクロン株は重篤な症状を引き起こす可能性があるか?」と尋ねられ、「分からない」と答えた。

オミクロン株は28日時点で南アフリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、オランダ、デンマーク、オーストラリア、香港、イスラエルなどに拡散している。イギリスでは3例目が報告された。また、AP通信などによると、南アフリカからオランダに入国した乗客13人からオミクロン株が検出されたという。

米国の専門家チームは南アフリカの医療当局と26日にオンラインで協議し、28日遅くにも会合を開くと伝えられている。

ファウチ博士は流通している主要なコロナワクチンのオミクロン株に対する効果について質問を受け、「オミクロン株の威力を解明する実験は進行中であり、科学者たちは2週間ほどである程度の答えを得られると推定している」と答えた。

ファウチ博士はワクチン接種とブースターの取得を呼びかけ、疾病予防管理センター(CDC)の勧告に従い行動することが重要と訴えた。「マスクを着用し、社会的距離のルールを守り、混雑を避け、こまめに手洗いを行ってください...」

ジョー・バイデン大統領はオミクロン株に懸念を表明したが、封鎖の可能性については言及していない。ファウチ博士も「最悪の事態に備える必要がある」と強調したが、「封鎖を開始する段階にはまだない」と述べた。

「私たちは最悪の事態に備える必要があります。ただし、オミクロン株の情報は限られています。政府とCDCは最悪の事態に備えていますが、それが現実になるかどうかはまだ分かりません。私たちはこれまでと同じく、科学とデータに基づいて決定を下します」

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