◎世界保健機関(WHO)はヨーロッパで開催されているユーロ2020がスーパースプレッダーイベントになる可能性があると警告した。
2021年6月29日/イギリス、ロンドンのレスタースクエア、スコットランドのサポーターたち(Getty Images/AFP通信)

7月1日、世界保健機関(WHO)はヨーロッパで開催されているユーロ2020がスーパースプレッダーイベントになる可能性があると警告した。

WHO地域ディレクターのハンス・クルーゲ氏はオンライン会議の中で、「ワクチン展開の遅れ、デルタ株を含む変異種、社会活動の急増、そして安心感の蔓延により感染拡大のリスクが高まった」と述べた。

WHOによると、ヨーロッパの感染者数はここ2カ月間減少していたが、直近1週間で10%増加し、新たな感染拡大に発展する可能性があるという。

英ロンドンとロシア西部のサンクトペテルブルクでは数百人規模のクラスターが発生した。

WHOのキャサリン・スモールウッド博士はユーロ2020の開催都市と主催者にサポーターの動きを監視し、さらに多くの対策を行うよう呼びかけた。

スモールウッド博士は、「スタジアム周辺の警戒態勢を強化しなければならない」と強調した。「試合後、ファンの皆さんはどこに行きますか?混雑したバーやパプに行く人はいませんか?スタジアムの外や近くの繁華街に集まって大声で歌っている人はいませんか?」

イギリスで最初に確認されインドで強化されたデルタ株の亜種は、ヨーロッパの新たな脅威になると考えられている。欧州疾病予防管理センター(ECDC)は先日、8月末までに新規症例の90%がデルタ亜種に置きかわると予想した。

ロシアでは死者数が急増しており、7月1日だけで672人が死亡し、新規陽性者数は23,543件を記録した。首都モスクワの症例はほとんどデルタ亜種に置きかわり、保健当局者は新しいデルタ亜種プラスの感染拡大にも警戒しなければならないと警告した。

2021年6月29日/イギリス、ロンドンのウェンブリースタジアム(AP通信/ニック・ポッツ/PAメディア)

フィンランドの保健当局は、6月21日にサンクトペテルブルクから戻ってきたサポーター約400人が陽性を示したため、ロシアへの移動を避けるよう国民に訴えた。

欧州サッカー連盟(UEFA)はドイツのホルスト・ゼーホーファー内相に「無責任の極み」と非難された。ゼーホーファー内相は記者団に対し、「サポーターは歓喜し、抱き合い、コロナを拡散させるでしょう」と語った。「UEFAの決定に納得できません。準決勝と決勝の収容人数は60,000人です...UEFAは収益を上げることに固執しています。スタジアムの収容人数は管轄の地方自治体が決めなければなりません」

スコットランドの保健当局は6月30日、ウェンブリー・スタジアム(ロンドン)から戻ったサポーター397人を含むユーロ2020関連旅行で少なくとも1,294件の陽性を確認したと述べた。

イギリス連邦の1日の新規陽性者数は27,989件を記録し、1月末以来の高水準に達した。ただし、死亡者数は20人前後を維持している。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は30日の演説で国民にコロナワクチンを接種するよう訴えたが、同国の接種率は伸び悩んでおり、少なくとも1回接種した人の割合は人口の約16%にとどまっている。

WHOのハンス・クルーゲ氏は、中央アジアを含むヨーロッパ地域全体で1回ワクチンを接種した人はまだ24%のみであり、高齢者の半分と医療従事者の40%が無防備なままだと述べた。

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